異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第47節

 ルディは冒険者の中では若いながら中堅であり、縦や横の繋がりは広い。
 既に冒険者を引退し、貴族の私兵となった兄貴分達との交流も絶やしておらず、顔が広い。
 私はルディとの契約を持ちかけ、ルディはそれを快諾し、依頼内容と報酬を取り決めた。
 依頼内容は情報収集とトラブルにおける武力的解決の補助。
 依頼報酬は一日あたり大銀貨二枚。一般成人男性の平均日収の四倍だ。それに加え、有益な情報やトラブル解決時の功績によって特別手当を支払うという内容。
 今回は冒険者ギルドを介さずの依頼のため、ルディの視点から見れば手数料を取られることはないが、いざという時の後ろ盾もない。
 冒険者ギルドは依頼の内容如何によっては犯罪すれすれの様な物もある。そういった物を見識の無い若手冒険者に渡らないよう、また渡ってしまったとしても冒険者ギルドが一丸となって冒険者を保護する働きもある。
 依頼人にとっても冒険者ギルドを介する利点はある。例えば、公にできない依頼内容でも依頼を引き受けた冒険者にはその内容を話さなければならない。そして、その冒険者が機密を抱え逃亡した場合は冒険者ギルドが賞金を懸けたり、その横の繋がりの強さから各国へ情報が発信される。
 今回のように依頼人である私と、その私を信用してくれ冒険者ルディとの合意によって初めてギルドを介さず依頼を引き受けてもらえるのだ。


「それで、ロウ様はどんな情報が欲しいんですか?」


 届けられた料理を食べながらルディは訊いてくる。


「貴族の私兵として雇われた者の中に魔人が居る可能性がある。その魔人を発見し、捕える事が私の仕事だ」


「魔人……ですか」


「魔人の名前はヨハン。ルディも見覚えはないか? シーク人とトール人の混血のような見た目をした私の元部下だ」


「……はい」


「私は彼を追っている。最近見かけた時、彼は髪を剃っていて一見すると少し背の高いシーク人にしか見えない」


「シーク人の私兵ですか……」


「ああ、それだけの情報しかない。彼は実力があり、身の回りを固めたい貴族にとって雇わない理由がないほどの手練れ。だから、どこかの貴族に雇われているだろうと見当をつけ、捜索している所なんだ」


 確かな情報はどこにもない。私があの時見た髪を剃ったヨハンの姿だけが唯一の手掛かりだ。


「分かりました。兄貴達にそれとなく聞いてみます。実力のある人なら間違いなく噂になってるでしょうから」


 冒険者は生き抜く術と同じくらい戦い抜く術を重要視する。当たり前だが、実力ある物は一目置かれ、噂を立てられることも多い。そういった習慣は冒険者を引退し、私兵となったとしてもすぐには変わらないだろう。


「お願いします」

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