異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第24節

 ハリソンと運転を代わり、ヒノモトまで到着した。
 ヒルからヒノモトまではそれなりに長い運転時間であったため、非常に倦怠感を覚えるも、まだしなければならないことがある。
 職人達の宿の手配や仕事の割り振りだ。
 基本は地元の職人を筆頭にして動いてもらい、足らない人手はその都度シーク人の職人を充当していく形になる。これも高い水準で技術を持っているシーク人の職人だからこそ柔軟な割り振りができるわけだ。
 仕事と労働者の関係は二つある。
 一つ目は人に仕事が付いていくタイプ。こちらは日本に多い。
 二つ目は仕事に人が付いていくタイプ。こちらは米国に多い。
 どちらにもメリットとデメリットはあるだろうが、今回は後者を選択した形になる。この選択もシーク人の職人がいて初めて選択できるわけだが。
 俺の目標としては、やはり城を作ることだ。これは多少の見栄もあるが、他国の要人を招くにはそれなりの格というものが求められる。ここらへんはハリソンの談なので素直に聞いておくことにする。
 あとは俺の領地経営の考えだが、まずは産業の活性化だ。
 この世界の技術水準は中世ヨーロッパ並みであるが、部分的に劣る部分がある。それは現世界の中世とは異なり、海洋を隔てた外の文化を取り入れていないからと推測している。簡単に言えば、文明の発展が非常に緩やかなのだ。
 だからこそ、俺のような外の文明を持っている人間の刺激はこの世界に色んな影響を与えている。そして、今回の俺の構想もきっとこの世界に大きな影響を与えることだろう。
 今回はインフラの構築と食糧生産だ。
 ヒノモトに多くの家を建設し、その家を貸し出すことで住人を増やす。ここら辺は街経営シミュレーションゲームに近い。
 住民を増やしつつ、その住民の不満を解消し、人口の増加に合わせて食料等の生産量も増やす。まずは住民を増やして国力を高めながら経済規模を大きくし、内需の拡大を計る。
 そのための人も物資もあればあるだけいい。
 ここら辺の構想はオセロ子爵とも相談済みであり、根回しも済ませてもらっている。だから、俺の考えをオセロ子爵に伝え、そのオセロ子爵がヒノモトの職人達に話を通す。回りくどく、非効率だが、角は立たない。
 シーク人の職人の割り振りを終えたところで、俺はハリソンを呼び出した。
 オセロ子爵の屋敷で俺が借りている部屋。そこにハリソンを呼び、二人きりとなっている。


「ハリソン。今朝からどうしたんだ?」


「……すみません。カズキ様」


「もう謝らなくていいからさ、一体何がったんだ?」


「…………」


 沈黙を続けるハリソンだった。俺もこれ以上は追求せず、ハリソンが話すまで待とうと構えていたところでハリソンは口を開いた。

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