異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第14節

 サニングの街中をバスで揺られながらジェイドとアンバーを探す。
 大通りは馬車がすれ違う事ができるように馬車四台が横並びになっても平気な程度には広いため、バスでもなんとか進むことはできる。しかし、裏通りとなると進入は難しく、適当な場所で駐車してハリソンと水城を残して俺とロージーで二人を探しに向かった。
 適当に探しながら聞き込みをしてみると、あの双子は目立つようで簡単に居場所が分かった。
 二人は何人かの職人に声を掛けたが、その誰もの答えは芳しくなく、途方に暮れていた所だったらしい。
 そんな二人に先ほどの経緯を話した。


 そして一度屋敷に戻って簡単な食事をとった後、チャドから紹介状を受け取るために再びオルコット商会を訪れる。
 そこですんなりとチャドから紹介状を貰い、そのままセシルの所へ案内される。


「セシル、旅の支度をしろ」


「旅って、今はそんな余裕はないでしょう?」


「馬鹿言え。お前一人居なくたってなんとかなるし、なんとかさせる。それより、お前はカンザキ公のご厚意で山の国まで同行させてもらうようになった」


 まさかとは思ったが、セシル本人に何も知らせていなかったらしい。


「兄さん。それってどういうことですか?」


「どうもこうもねぇ。お前はまだ修行中の身だ。だったらいつまでもこんな狭い商館で数字を弾くより、広い世界に胸でも躍らせてこい」


 チャドはそう言ってセシルが持っていた書類を全て引ったくる。


「兄さん!」


「ほら、何してる。商売人はチャンスを逃さないもんだろ? チャンスってのは手袋を嵌めてる間にするりと抜けるもんだ。だったら素手で捕まえろ。俺の弟ならそれぐらいの気合を見せろよ」


「もう……兄さんったら」


 あまりの強引さに俺は驚いた。セシルも少しは驚いたようだが、仕方がないと言った風体だ。


「セシル、チャドさんから話は聞いてないのか?」


「すみません。カンザキさん。僕も何の話か分からなくて……。良ければ説明してもらえませんか?」


 若干の戸惑いを見せるセシルに俺は説明した。
 新しい国を建国するために職人を雇いたいが、陽の国では十分な人手が確保できない。そこでチャドに紹介状を書いてもらい、山の国の職人を雇うことにした。その紹介状を書いてもらう対価としてセシルを同行させるというものだ。
 それを聞いたセシルはわざわざすみませんを謝り、それならばとすぐに準備を始めた。
 そして準備が整ったのが昼過ぎ。
 今から出れば夕方前後にはヒノモトまで到着するだろう。
 そう算段をつけて俺達はサニングを出発した。

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