異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第13節

 ロージーから魔石術の基礎を教わった。


 魔石術は簡単に言うと複数の図形を組み合わせた俗にいう魔法陣に近い。


 調和を表す円。
 急激な変化を表す角。
 緩やかな変化を表す弧。
 そういった図形を組み合わせることで魔術を再現する。ただし、その組み合わせは文字通り無限であり、ある程度の法則はあれど全てを解明できている物は居ないというのが実情だ。


 ちなみにカオスに聞いてみたが魔石術に関しては全く分からないらしい。


 カオス曰く、魔力は確かに我の身体の一部であるがその全てを理解しているわけではない。この世界を創造する際も試行錯誤したと話したであろう。とのこと。


 仕方がないので更に魔石術についてロージーから話を聞く。
 まず、魔石術で大事なのは属性を持つ魔力を魔素に分解。そして、その魔素を魔法陣に流すことで魔素は徐々に属性を持ち、魔力となる。そしてその魔力を魔法陣の外部へ放出することで魔術となる。
 例えるならば、魔素とは電気であり、その電気を熱や光に変換する機械が魔法陣。そして、その変換したものを外部へ放出、照明や電気ストーブが魔術のようなものだ。


 魔法陣には主に三工程が必要で第一が分解、第二が変換、第三が放出だ。


 分解は魔力を魔素へ分解する工程だが、ここで純度100%の魔素に変換できることが理想だがそう上手くはいかないらしい。そこで魔法陣の書き手のセンスよって分解の種類が分かれる。
 一つ目は魔石から取れる魔力を最大限利用するために純度を犠牲にしてでも量を確保する事。この場合、多くの魔力を確保できるため魔術の規模を大きくできるが、制御が難しくなる。
 二つ目は制御を容易にするため、また正確な魔術を発動させるために純度の高い魔力を得ようとノイズとなる物を取り除く方法がある。この場合、一つ目に比べ同じ規模の魔術を発動しようとすると魔石の数が余計にかかる。


 変換は分解された魔素を魔法陣に流すことで属性を付与して魔力に変換し、その魔力に指向性を与える。水との親和性が高い属性を持った魔力ならば、水の創造や水の操作、そういったことを実行する。
 ただし、この魔法陣が非常に難しく、図形の組み合わせと言えば平面だけのようでいて実は立体的に書いても意味を為してくる。例えば、平らな紙に魔法陣を描いたとしても、その紙を折るだけで別の意味が付与されてしまうという事だ。
 紙に書く場合はシワ、折り目、巻き癖、そういった物にも気を付けなければいけないらしい。
 タイン人が言う魔石術の研究とはそのほとんどがこの変換の部分を指すことが多い。


 放出は魔法陣によって意味を持った魔力を外部へと放出させる。魔術の規模や効果時間等がココで決まる。ここを誤ると漫画のように魔法陣が爆発する可能性がある。魔石術に精通していない貴族が魔石術を自らの物にしようと試み、屋敷を全壊させたという逸話がある程度には危険であることが伺える。


 そして最後だが、魔法陣を書く道具にも魔法陣の質が左右される。魔法陣を書くには塗料が必要だが、その塗料は主に魔石を砕いた物を油等で溶いた物。ちょうどアイリに奴隷の印を書いた時の様な物だ。その魔石の質が良ければ魔法陣の質も向上する。質が向上すると基本的に三つの行程の全ての効率が上がる。


 魔石術について色々と学び、俺自身も試したいと思うようになった。

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