異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第11節

 優秀そうな管理人として改めてルクス、もといヒノモトの管理を任せることにした。
 そして、しばらくはこの屋敷を拠点として色々と動くことにし、まずはこの屋敷の一室を借りてゲートを作る。これでいつでもヒノモトにアクセスできる。
 アイリには休憩を命じて俺だけサニングに戻った。
 屋敷の中には誰も居ないため、まだどこかに出かけているらしい。
 俺は空を飛んでバスを目印に探してみた。するとすぐに見つかった。
 オルコット商会の裏手。普段は荷物の積み下ろしを行っている場所にバスが駐車されていた。
 どうやらロージーとチャドが何か話しているようで、ハリソンと水城はその様子を遠巻きに見守っていた。
 地上に降りて遠巻きの二人に話しかけた。


「水城、何かあったのか?」


「あら、戻ったの。なんだかよく分からないんだけど、ロージーさんが職人の手配をしようとして職人ギルド? って所に行ったら今は商会ギルドとの仕事が忙しいからって断られて。それでロージーさんがオルコット商会に職人をこっちに回してほしいって話してるところなの」


「でも、すんなりいく雰囲気じゃないみたいだな?」


「あのチャド? って人は数人ならできなくもないって言ってくれたんだけど」


「けど?」


「ほら、このバスって何十人って乗れるでしょう? だから、数人じゃダメだってロージーさんも退かなくてね」


「ああ……」


 話が平行線になってる訳か。


「でも、俺としても職人は多く来てほしいんだよな……」


 金で無理矢理確保できなくはないだろうけど、オルコット商会との縁も大事にしたい。
 こういう臨時の時に人手が欲しい時に派遣会社でもあれば依頼するんだけどな……。
 ……いや、派遣か……。


「ハリソン」


「なんでしょう?」


「もしも国内で職人が足りない時、国外から職人を連れてくるのは問題になったりしないか?」


「国外ですか? そうですね……湖の国はそういう点では厳しいかもしれませんが、山の国や森の国ならば寛容でしょう」


「山の国ってシーク人の国だよな?」


「そうですね。シーク人の職人は昔からどの国でも重宝されてますから、雇えるならシーク人が良いですね。体力もありますし、根気もあります。土木技術では並ぶ者はいないですよ」


「…………」


 俺は少しだけ考えてから交渉している二人に割って入った。


「話中にすまん」


「あら、カズキ様。おかえりなさいませ」


「ああ、ただいま」


 二人の間に体ごと入れ、チャドに向き合った。


「チャドさん、話は聞きました。こっちに回せる職人が居ないんですよね?」


「ああ。未だにあの戦争が尾を引いててな。一部の職人は国外に出てっちまったから、職人が減っちまったんだよ」


「国外というと?」


「木工職人なら森の国、鍛冶師なら山の国だ。職人に言わせれば陽の国は金稼ぐ場所には向いてるが、技術を高めるには向いてない場所らしくてな。これを機にと各国に出て行っちまったんだ」


「そういうことですか」


「極端な話、陽の国には一流はたくさんいるが超一流は居ないんだ。本当の超一流を雇いたいなら余所の国を当たったほうがいい」


「……分かりました。では、チャドさんにお願いがあるんですけどいいですか?」


「なんだ?」


「山の国の商会への紹介状を書いてください」

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