異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第7節

 サニングを飛び出して数十分。すっかりとサニングの城壁も見えなくなった。
 よくよく考えてみれば俺はあの村とサニング以外の場所をほとんど知らないだけに、空から地上を眺めてみると以外にも農村が点在している事に初めて気が付く。
 太めの街道には何本も脇道があり、その脇道の先は多くが農村だったり山村だったりと俺が知っている以上に集落は多い。ああいった村がたくさんあるからこそ、街の人間は飢えずに済むのだろう。
 それはアイリも俺と同じような感想を覚えたようで、あんなところに村があったんですね、と言っている。
 アイリとそんな遊覧飛行をしつつ、急に開けた場所に出た。こうして比較するとサニングの東には山林が多かったらしい。だからこそ更に東に向かった結果、広い草原とその草原を割るように伸びた街道があり、その街道上に不規則に集落がある。どうやら、今までの山林は森の国から陽の国へと木々が伸びているような感じがする。
 改めてハリソンから手に入れた地図を頼りに更に東に向かう。


 この地図上で言えば、西に陽の国、北に山の国、東に湖の国、南に森の国があり、陽の国の東側は丁度各国の真ん中に位置している。
 各国の広さは陽の国、森の国、湖の国、山の国の順に広い。まぁこの地図が正確ならばだが。
 そんな事を考えながら地図を眺めていると気になる個所が何カ所かある。


「アイリ、この国と国の境界になんかあるけど、これはなんだ?」


「これは小国ですね。陽の国、山の国、湖の国、森の国のどこにも属していない街が独立国家として存在してます」


「小国? そんなものがあるのか?」


「はい。そういった小国にはアベル人、トール人、シーク人、タイン人とも違った少数種族も居たりするんですよ」


「他にも種族があるのか?」


 それは初耳だ。


「はい。ただ私も居るという事を教えてもらっただけで具体的にどんな人達が居るのかは知らないんですけど」


「ふーん。少数種族か……」


 なんとなくだけど、そういった中に実は魔人が居たりしないだろうか。
 そんな一抹の不安を覚えつつ更に東に向かうと陽の国と森の国との境界付近、そこにある街を見つけた。
 この土地は既に俺の所有物であり、あの街ですら俺の持ち物らしい。あまり実感はないが、街に下りてみる。
 別に街の人達が俺達を歓迎するわけでもない。ただ、空から降りてきた人間を物珍しそうに見る視線が向けられているだけだ。


 とりあえず、この街で一番偉い人に会いに行くか。

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