異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第4節

 倉庫内に入ってみるとその広さに驚いた。外から見る大きさと中から見る大きさではこうも印象が異なるのか。
 倉庫内には既にバスが納められている。それ以外に何もない。


「アイエフさんがこの倉庫の管理人をしてくださるって話なんですが」


「ええ。それともう一人、急遽だけど貴方のために支部長が用意してくれた人がいるの。ポリグラフさん」


 アイエフがそう言って呼んだ人物は俺が知っている人物だった。


「なんでここにシルヴィが?」


「黒の剣士さん。今はコードネームで呼んであげてください」


「ああ、はい」


「彼女はアマテラスの管理下に置かれる事自体は決定されましたが、具体的にどのように彼女を管理するかは決まっていません。なのでコードナンバーも与えられていない状態です。目下、黒の剣士さんが監督をするという事が暫定的に決まっている状態です」


「それでその、ポリグラフでしたっけ」


「はい。嘘発見器の俗称みたいなものです。呼びにくければポーちゃんと呼ぶといいと思います」


「……ポーちゃんですか」


「可愛いでしょう?」


「……そうですね」


「それで話の続きですが、彼女自身の能力自体は非常に魅力的であると同時に彼女の言葉一つでアマテラスが動く可能性が出ても困る。なにせ彼女が嘘だと判断しても、その判断が正確かどうかは私達には分かりません。そこに黒の剣士さんの命令ならば従順な姿勢をみせるとの話も上がっています」


「つまり、俺に嘘発見器の嘘発見器をしろって事ですか?」


「言い方は悪いけど、その通りです」


「…………」


 ここで断った所で俺にメリットは無い。それにシルヴィが俺の傍で働く事自体には文句はない。


「彼女は戦闘系の能力者ではないため、必要時のみ召集がかけられます。そういった非戦闘系能力者は非召集時はそれぞれに応じた日常を送ってもらうのですが、彼女は元々敵でありこの国に身寄りはいません。なので、なんらかの仕事を与えた方がいいのではないかというのが支部長の判断です」


「つまり、非召集時は倉庫番、召集時は嘘発見器をしろってことか」


「そうです」


「……ポーちゃんはそれでいいのか?」


「……あなたもその名前で呼ぶの?」


「ダメか?」


「ダメではないけれど、ちゃん付けには抵抗があるわ」


「……ポリポリ?」


「それはやめて」


「なら、ポーちゃんで」


「……いいわ。待遇は悪くはないようだし、給料もきちんと払われる。この国は他の国より治安もいいようだし文句はないわ」


「なら決まりだな」


 俺はアイエフに向き直った。


「ありがとう。じゃあ、了承を得た所でもう一ついいかしら?」


「なんですか?」


「今、ポーちゃんはホテル住まいなんだけれど、どこかに引越しさせたいの」


「なるほどね。なら、この近くに部屋を借りればいいじゃないか?」


「そういうわけにもいかないの。今までは黒の剣士さんが療養中ということもあって、私が代わりに彼女を監督をしていたけれど、黒の剣士さんが復帰したなら彼女の監督義務はあなたになるわ」


「……つまり?」


「彼女をあなたの家に住まわせてあげて」

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