異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第83節

 シルヴィの美味い手料理を味わい終え、昼を過ぎた頃にブラッドに連絡を取ってみた。しかし、ブラッドからもたらされた情報は特に得る物は無かった。ククの合成獣が帰ってきてないのだ。これでは奴らを追跡することができない。
 奴らが拾ったクララが宿った魔石を追うという手段があるため、俺単独で挑むことは可能だ。ただ、俺自身の魔力の残量と相談しなければならないのが辛い所だ。
 一度ここで整理をしよう。
 奴らの目的はヘラvsファットの対戦を実らせること。それに対し、俺の目的はクロを助ける事。
 ファットをヘラにけしかけ、俺はその隙にクロを助ける。これが俺自身に一番負担が無い。だが、ヘラの能力を考えるに単純な物理攻撃は利かない。首を刎ね飛ばされて生きているような化け物だ。ファンタジー物ならば倒せない敵ならば封印するというお約束があるが、現代でそれはかなり難しい気がする……いや、仮に化け物を封印するならどういう手段だろうか? 神殿に封印、石に封印、地中に封印、海に封印……。
 ……石に封印か……。


「シルヴィ、ヘラの攻撃手段は肉体による攻撃だけか?」


「そうね。あまり武器は好まないわね」


 頭の中で一つ策が思いついた。だが、それを実行するためには物資が足りない。
 と、考えを巡らせているとブラッドから電話がかかってきた。
 何か進展があったかと思ったが、支部長から俺宛の電話を預かったらしい。話を聞いてみれば約束の準備ができたとのこと。ついでに支部長の連絡先を教えてもらった。
 ブラッドに礼を言ってから支部長に連絡を取ってみる。


「支部長。約束の件ありがとうございます」


「いや、ニーサンとの約束だからね。倉庫と管理人をこちらで用意した。君さえよければいつでも来たまえ」


「それが、こちらで色々とトラブルがありまして。すぐにそちらに向かう事はできないんですよ」


「……ああ、ブラッド君から聞いているよ。君達の仲間がさらわれたそうじゃないか。何か手助けが出来そうなことがあったら教えてくれ。私自身がそちらに向かう事はできないが、私の権限でできる事ならばある程度の事は叶えよう」


「なら、ちょっと用意して欲しい物があるんですが」


「それは何だろうか?」


 俺は支部長にある時間にある物をある場所に持ってきてほしいと伝えた。


「……いいだろう。間違いなく手配しておく」


「助かります」

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く