異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第68節

「クララ。現状を教えてくれ」


 俺は俺とクララの認識の違いは誰かの能力によるものだと仮定した上で話を聞くことにした。


「六人目は少し年をとった男。カズキとあの猫って人と泊まったホテルで買い物をしてた時に話しかけてきた男よ」


「ホテルで買い物していた時……」


 クララにそう言われるが俺の記憶には男なんて登場しない。しかし、それすらも敵の能力なのかもしれない。


「クララは初めから六人だと言っていたけど、俺の記憶だと敵は四人だったはずだ。一人が能力者だと仮定して、もう一人も同じ能力者じゃないとこういう状況にはならないんじゃ」


「カズキはさっきまで敵は五人だと言っていたわ。でも、急に今は敵は四人と言い始めたの」


「……一人ずつ減ってるのか? 俺の記憶……いや、クララの記憶からもか」


「それともう一つ気になる事があるの。あのトラスって女が言っていたわ『ノーさん。彼がこの空間の創造主です』って」


「そのノーさんって人物が能力者ってわけか。にしても、俺が異空間の創造主だってどうやって分かったんだ?」


 俺は周囲を警戒しながらトラスに歩み寄る。


「なんですか?」


 この女が他人の能力の正体を見破る能力だと仮定しても俺が空間を生み出したと分からないはずだ。もし分かるのなら俺にわざわざ質問なんてするはずがない。それにもし本当に能力が分かるとしても俺の能力は異空間を作り出す能力ではない。
 おそらく何かの条件を満たしたから俺が空間の創造主だとバレたのだ。条件は分からないが、視線を合わせる、会話をする、そういった程度の短時間でできる簡単な条件なはずだ。


「クロ。そのトラスって女の目と耳と口を塞いでくれ。たぶん、相手の情報を知らないうちに奪うような能力者の可能性が高い」


「分かりました」


 さてと、クララの話から察するにトラスはノーに俺が能力者であることを伝えた。そして、ノーとは別に一人が消えている。その一人が気になる。


「クララ、ノーとは別に消えている人物のことを教えてくれ」


「もう一人も非戦闘員の男。ただ、クロの髪が足に巻き付いた時に手で触れると髪が消失したの。だから、カズキはその男が相手の能力を無力化する能力を持っていると判断しているみたい」


 ということは敵は俺を異空間を作り出す能力者だと思い、能力者の能力を無力化する能力を持つ男が消えている。つまり、その男が俺に触れることで異空間を解こうと考えるのが自然だ。


「目標は俺ってことか」


「ご名答」


 背後から聞いたことがある声がした。

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