異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第65節

「いくつか確認したいことがある」


 ブラッドがサングラスを上げながら言った。


「その女達が探している人物がお前って話だが、心当たりはないのか?」


「無いですね。ターゲットの名前をダイヤと呼んでいたから、俺の能力で宝石を生み出せる点から来てるのかもと思いましたけど、俺は一度もダイヤなんて作ったことがないですし、宝石を売り払ったのだってそう多くないですよ」


「なら次だ。その追跡者達が言っていた明日の作戦ってのの詳細は分かってないんだな?」


「そうですね。あの人達の目的はダイヤと呼ばれる人物の特定。それが俺であると判断したから作戦を決行するって流れだと思うので、俺か俺の周りに何かをするとは思うんですけど」


「一番手っ取り早いのは家族、恋人、友人を狙うって所だな。でも、お前の素性を知らなかった以上、すぐにそっちに危害が及ぶとも考えにくい。それにそいつらはお前がここに住んでるって勘違いしてるんだよな?」


「そうです」


「なら、十中八九ここを狙ってくるんだろう。例えば、この場にいる一見か弱な女共を人質にしたりしてな」


 ブラッドは猫とクロを交互に見比べる。


「私達なら大丈夫ですよ。ね、クロちゃん?」


「は、はい……」


 クロは一見すれば清楚なお嬢様を絵に書いたような見た目をしている。話してみれば少し人見知りする普通の女の子だけど、能力者としての彼女はかなり強い。


「さてと、ここまでニーサンにお膳立てされて後手に回るのは俺の性に合わねぇ。こっちから打って出るぞ」


「ブラッド君。何か考えがあるの?」


「まず、阿藤興行の方はしばらく動けなくする必要がある。無能力者の相手は無能力者にしてもらう方が面倒がない」


 そういえば、アマテラスの協力者に公安がいたっけか。


「俺達はその怪しい女達がいるって所に行くぞ。場合によっては戦闘になる可能性がある」


「もしかして、ボクも行くの?」


「当たり前だ。本当ならチープワークやらチームプレイみたいな訓練をさせるつもりだったが、その時間もないしな」


 ブラッドは少し残念そうに言った。


「前提として、相手は能力者集団とする。その上で今回はツーマンセルを三チーム作る。まず、俺とファットさんで主力を担う。もし撤退する時はそのまま殿になる。次に猫とククは周囲の警戒、及び逃走した能力者の追跡だ。猫は近距離の能力者の位置の把握とククの護衛。ククは逃走した奴らを合成獣で追わせろ。撤退する場合は猫がククを連れて迅速に逃げろ。最後がクロとニーサンだ。遠距離攻撃を担ってもらう。クロは能力を使って能力者達を捕獲、難しい場合はそのまま処理してもらっても構わない。ニーサンはクロの護衛だ。余力があれば俺達を援護しろ。ただし、絶対にクロを一人にするな。撤退する場合はニーサンがクロを連れて逃げろ」


 ブラッドの案では俺がクロと組むらしい。てっきり、ツーマンセルと聞いて猫と組まされるかと思っていたが、主力がブラッドとファットで決まっているなら、必然とこうなるか。


「よろしく。クロちゃん」


「よろしく、おねがいします……」 

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