異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第64節

 ククルカンの不自然な消滅。そして、ククルカンの侵入に気づいたらしき男。
 おそらく、男が何か拾った仕草を見せたのはクララが宿った魔石を拾ったのだろう。


「どうしたもんか……」


 空中から見下ろした所で特に情報は手に入らない。このまま待機していてもただただ無駄な時間が過ぎていく。
 ……変装もしているし、多少のリスクは覚悟して突っ込んでみるか。
 虎穴に入らずんば虎子を得ず。これ以上の情報が欲しければリスクを負えってことか。
 ……いや、ここは一旦退こう。おそらく、ククルカンを消したのは能力によるものだと思う。ということはあそこには能力者が少なくとも一人居ることになる。もし、能力者がいるとすれば他に能力者がいないとも限らない。むしろ、他に能力者がいると考えたほうが自然だ。能力の全容は分からず、能力によっては戦闘以外の部分で強力な物だって存在する可能性がある。異能力バトル物のラノベやら漫画なら無い方がおかしい。虚構と現実を混ぜるなと言われるかもしれないが、この場合は安全を取る意味でも混ぜて考えた方が良い。


「一旦退こう」


「貴様が退くとは驚いた」


「そうね。てっきりこのまま攻め入る物かと思っていたわ」


「それもいいんだけど、今の俺はアイリス達の主としての俺じゃない。アマテラスのブラッドのチーム員だ。単独行動はここまでだ」


 後ろ髪を引かれる思いだが、一度離れると決めた以上さっさと離れたほうがいい。ククルカンが消された件で相手も警戒している可能性だってある。
 杖を旋回させ、事務所に戻る。道中は特に何の障害もなく、無事にたどり着いた。


「無事に戻ったか。首尾はどうなんだ?」


 この時間に全員がこの場に揃っているというのは珍しいのかもしれない。
 暇潰しのテレビはニュース番組になっている。猫、クロ、ククの三人でトランプをしているし、ブラッドとファットは地図を広げて何やら話していたらしい。


「ちょっと色々あったんで、順番に説明しますね」


 俺はブラッドが広げていた地図を借りながら経緯を話した。
 俺達を追っていたのは阿藤興行なるカタギではない組織の構成員六名。その上司たる柏木に仕事を依頼したのが英語を話す女性と通訳をする女性の二人組。その二人組は市内の民家を拠点としており、ククルカンをその民家に潜入させようとした所、なんらかの能力によってククルカンが消された。その先の調査を断念し事務所に戻った。そういう話だ。

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