異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第51節

 ロトの訪問後、晩餐会が始まるまでの間、息をつく暇もなく次々に訪問客が現れた。


 ロトの次に来たのが意外にもレオだ。
 レオはまだ全快ではなさそうだが、一人で歩ける程度には回復したらしい。それでもまだ剣を振るう体力が戻っていないらしいが。
 レオからあの時は悪かったと謝られたが、あの立場に俺が立っていたら同じようにしていたかもしれないと返しつつも詫びは受け取った。
 ついでだと俺はレオから魔朧マジックヘイズについて聞いてみた。
 魔朧マジックヘイズは自分が保有する以上の魔力を操ろうとした時に自らの肉体を代償にし、無理矢理魔力を精製する。その過程で溢れ出た魔力が不規則な属性を纏い可視化する。だから俺にも見えたらしい。
 魔朧は誰にも使えるわけじゃなく、才あるものが使える最期の切り札といっても過言ではなく、死んでもおかしくなく、戦線復帰できるものは稀。そういった意味ではレオは幸運だったらしい。
 短いがそれだけのやりとりをしてレオは出て行った。


 その次に来たのはオルコット商会の三兄弟だ。俺はこの席で初めてオルコット商会長、つまりセシルやチャドの兄、クリス・オルコットと対面した。
 どうでもいい話だが、クリスティーナ王女とクリス商会長とで略称がクリスで一緒なのは微妙に面倒だ。一応、この場では初対面という事もありクリス商会長と呼び通した。
 クリス商会長は長身面長の美形であり、トール族に近い印象も受けるが正真正銘のアベル人だ。個人的には眼鏡とかに会いそうだなと思った。
 社交辞令もそこそこに俺が交渉事は苦手なこととクリス商会長は汲んで率直に話題を商売事に移したが、時間もあまりとれないのでと一旦は断り、取引は基本的にセシルとすることにしているとクリス商会長には伝え、退室した。


 その次が意外な事にゲイリーと見知らぬ中年男性が現れた。その中年男性こそゲイリーの主、オークス伯爵その人だった。つまりはサニングに侵入する際の秘密のルートをゲイリーに教えていたことで俺が楽にサニングへ侵入できた恩人でもあるわけだ。
 身なりの綺麗なこの人物。ゲイリーから俺の話を聞き、興味を持ってわざわざこの授与式に参列したらしい。
 社交辞令もそこそこに挨拶を済ませ、話を伺ってみると俺に譲渡される領地とオークス伯爵の領地が隣接しており、更に聞いてみれば、俺の領地は陽の国、森の国、湖の国、山の国のどこへでも迎える中継地点にもなり、既にそこにはある程度の間隔で宿場町もあるそうだ。
 何か困ったことがあれば力になると心強い言葉を貰ってやり取りを終えた。


 そのあとは初対面ともいえる陽の国内の貴族の連中が次々と押し寄せてくる。それらを適当にあしらい、一区切りついたと思ったら今度は国外からの訪問客が訪れた。それも湖の国、森の国、山の国の王女達だった。

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