異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第47節

 翌日。朝早くから拠点とするビルに向かい、ブラッドに今日休ませてもらうよう頼むつもりでいた。さすがに朝早いため、俺が一番最初かと思いきや既に一人いた。


「今日は早いな」


 コーヒーを飲みながら新聞を広げる白髪サングラスのインテリヤンキー。なんかそんな感じのブラッドがいた。


「ブラッドさん、今日は休ませてもらえませんか?」


「なんだ? 急用か?」


「そうなんです。言ってしまえば冠婚葬祭の類です」


「分かった。今日の見回りのローテーションは適当に調整するとして明日は出られるんだよな?」


「はい。その予定ではありますけど」


「ならいい」


 それで話は終わりとばかりにブラッドは新聞に目を落とす。どうやらブラッドが見ているのはどうやら全国紙ではなく地方紙のようで、俺も名前だけは聞いたことがある新聞だ。


「ブラッドさんはいつもこんな早くから出てるんですか」


「ちげーよ。ここに住んでんだ」


「本当ですか?」


「ああ。ベッドもシャワーもトイレもあるんだ。外で飯を済ませりゃ住めば都さ。それに一応は俺達能力者の拠点だからな。万が一、空き巣のような輩が間違って入って殺されねぇように気を使ってんのさ」


「そういうことですか」


「ああ。そういうことだ。話はそれで終わりか?」


「ああ、はい。すみません」


「なら、今日はもう帰っていいぞ。あと、休む時は電話かメールを俺にくれ。連絡先渡してなかったか? まぁいいや、これが俺の連絡先な」


 ブラッドはサラサラと新聞の切れ端に連絡先を書いて破って寄こしてきた。


「ありがとうございます」






 拠点を離れ、自宅に戻り、早速行動に移す。
 まずは服選びだ。俺とハリソンの分はすぐ決まるが、他の連中の服が難しい。なにせ女物だ。フラン以外は全員背丈が似ているから全員同じもので良いかとも思ったが、折角だから一人一人に合いそうなものを選んでいく。買うものはパーティードレスだ。
 まずはアイリだ。アイリには少女用の白いドレスを着てもらおう。露出は抑えて、綺麗さと可愛らしさのバランスが取れた物をチョイス。やっぱり、金髪に白いロングドレスは全面的に俺の好みだ。
 次にロージーだが、女性陣の中で一番の年長者だ。薄紫色で少し落ち着いた感じのドレスがいいだろうか。少しでもハリソンと並んでも違和感が無いよう、少しかかとの高い靴も選ぶ。
 次にジェイドとアンバーだ。ジェイドには薄黄色、アンバーには薄緑色の色違いのドレスを選ぶ。やはり、あの二人は同じデザインながら色違いの方がしっくりくる。あくまで俺の中でだけだけど。
 最後がフランか。フランにはやはり赤がいいだろう。炎姫の二つ名を持つあいつに相応しい物を選ぶ。やはり、多少なりとも体のラインが出るものを選ぼう。


 こうやって現代で服選びをしていると、女性ものの服は少し露出が多い気がする。それに対し、向こうの世界ではあまり女性が露出が多い物は無い気がする。
 俺は比較的露出が少ない物を選んでいるが、それでも向こうの人間の物差しで測れば十分に多いのかもしれない。まぁ仕方がないか。
 割と値が張るが全てを現金で購入し、その場で受け取ってIGを通じて異世界に送る。
 それを昼前に終わらせ、そのまま異世界に突入。
 訓練中だというフランも呼び寄せ、全員に着替えさせては多少なりと装飾品で着飾る。
 あまり化粧の濃い女性は好きじゃないが、紅を差すぐらいは嗜みだろうと口紅も用意している。それが意外にもロージーからは好評で素直に礼を言われたほどである。


 それらを済ませ、俺達は王城へと向かう運びとなった。

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く