異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第36節

 IGを抜け、例のビルの人気のない一角に降り立ち、いつもの部屋に向かう。
 このビルはアマテラスが保有しており、このビル内にいる人員はアマテラスの関係者ばかりだ。俺達以外にもう二つの能力者のチームと無能力の協力者が数十人らしい。
 俺が住んでる街は人口百万人を超えているため、各県におかれる支部とは別にこういった場所も設けられ、他にもこういった支部ではないが、能力者が常駐できる施設は点在しているらしい。
 まぁ他のチームのメンバーに会ったことが無いからどんな奴らなのかは知らない。ブラッドあたりに聞けば教えてくれるかもしれないが、必要に迫られた時にでも聞けばいい。それよりも自分自身に目を向ける方が先だ。
 部屋に入ると他のメンツは全員そろっている。一応、集合時間の十分前に来ているから俺が遅いという訳ではない。


「おはよう。ニーサン」


「ああ、おはよう」


 猫はいつも通り気さくに声をかけてきてくれ、俺も挨拶を返し、他の面々にも挨拶をしながら空いた席に座る。


「さてと、それじゃあミーティングを始めるか」


 ブラッドはマジックを手にホワイトボードの前に立つ。


「ブラッドさん。今日は何をするんですか?」


「今日は通常任務だ。俺、猫、ククの三人で見回り。ファットさんとクロとニーサンは待機だ。ちなみに見回りってのは、この街にまだ発見されてない能力者がいないか、能力を悪事に使ってる奴がいないか巡回するってことだ」


「まるで交番勤めの警察みたいですね」


 角刈りで眉の太い自転車乗りの中年警官を思い出す。


「まぁそんなところだ。猫が俺のチームに入ってくれたから、街中をドライブするだけで終わりみたいなもんだけどな」


「ああ、例の能力者を見分ける能力」


「お前もそのうち見回りの任務をさせるから覚えておけ。まず猫の感知能力だが範囲はその日の調子にもよるが最低でも半径一キロ以内で能力が使われれば察知できる。それと能力は常時発動型じゃなくて能動型、つまり自分の意思で使う、使わないを選べる。これが巡回ルートだ」


 ホワイトボードに地図をマグネットで貼り付ける。
 紙媒体の地図とか久しぶりに見た気がする。
 地図には赤いラインが描かれ、それが巡回ルートだと分かる。


「ニーサンはペーパードライバーだったか?」


「そうです」


 あっちの世界で車もどきを作ったけど、あれは運転というには無理がある。


「なら、実質運転ができるのは俺と猫とファットさんか。猫には感知に集中してもらうとして、見回り中の運転は俺とファットさんとで交代。クロ、クク、ニーサンは適当にローテーションを組むか」


 ブラッドはホワイトボードに適当に役割を書き込む。


「そういえば、待機組は何をすればいいんですか?」


 俺は手を上げて聞いてみた。


「待機ってのはいつでも動ける状態にするって意味だ。寝たり遊んだりしてなきゃそれでいい」


「分かりました」


 ってことはその待機時間を利用してクロと訓練ができそうだな。
 ちらりとクロを見る。
 クロも俺と同じことを考えていたようで目が合った。


「三時頃には見回りから戻ってこれるだろう。見回り組は外で昼食、待機組は休憩時間なら外に出て飯を食ってもいいし、出前でもいい。一応、食事代も経費扱いだから領収書は貰っとけよ。給料日に同額を返すからな」


 なんだろう。ブラッドの口から領収書とか言われると強い違和感を覚える。


「それじゃあそろそろ出るか。待機組は分からねぇ事があったらファットさんに訊け。以上だ」

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