異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第22節

 俺に宛がわれた部屋に入るとククがちょうど着替えている所だった。


「あ、ニーサン。おかえりなさい」


「ただいま」


 ククは小柄であまり筋肉も付いていないように見える。学校のクラスに一人はいる小柄な男の子って感じだ。


「クロさんと少しは仲良くなれましたか?」


「ああ、まぁ普通に雑談ができる程度には仲良くなれたかな」


「そうなんですか?」


「ああ。共通の話題があったから少し話が弾んだ」


「どんな話題なんですか?」


「それは秘密。それより、早く着替えなくていいのか?」


「ボクの場合、これが戦闘服ですから」


 ククの姿は短パンに薄手のパーカーだ。幼い容姿が更に幼く見える。


「それより、ニーサンも着替えなくていいんですか?」


「いや、俺の場合は着替えも好きな時に創れるから」


 カオスのおかげで着替える必要がない。単なる服よりもカオスが出してくれる装備の方がよっぽど頑丈だ。


「やっぱりニーサンの能力って便利ですよね」


「まだ使いこなせてる訳じゃないんだけどな」


 俺は苦笑いしながらエレベーターに向かい、後ろからククが付いてくる。


「そういえば、ククの能力がキメラを生み出す能力ってのは分かったんだけどさ、どんな動物でも生み出せるのか?」


「うん。アマテラスの人に頼んだら、色んな動物の血液が手に入るんだ」


 そういってククはベルトポーチから弾丸を見せてくれる。


「これは犬の血だし、こっちは猫に血、これなんかゴリラの血なんだよ」


「ゴリラの血とかもあるのか」


「うん。他にもあるよ」


 多種多様な動物、その中でも危険だと思ったのは単純に力が強かったり、身体がデカイやつだったり、毒を持っていたりする奴だ。


「例えば、このチーターとキングコブラを掛け合わせると牙から毒を持つチーターとか創れるし、アフリカゾウとゴリラを掛け合わせるとゾウみたいな大きな鼻の長いゴリラとかもできるんだよ」


「それってめちゃくちゃ強くないか?」


「でも、戦闘向き能力を持ってる能力者には中々勝てないんだけどね」


 そうなんだろうか。そりゃあ、紅蓮みたいな能力者相手なら誰だって負けるだろうし、ファットみたいに素早い動きならいくら動物の身体能力をもってしても捕えられないだろうけど、並みの能力者なら勝てるんじゃないだろうか。


「それにボクの能力は血液が必要だからね。ニーサン、献血受けたことある?」


「いや、ないね」


 大学でたまに献血する人を募ってるのを見たことはあるけど、受けたことはない。


「成人男性が年間に献血できる血の量は単純に計算すると1.2リットル。ボクの場合は体が小さいから1リットル未満なんだ。ブラッドさんみたいに使った血液をもう一度使うってことも出来なくて使い捨てだから、能力条件以外にも制約があるんだよね」


「そういうことなのか」


「うん。それ以上抜くと体に悪影響があるかもしれないってアマテラスのお医者さんに言われたんだ」


 そういう条件があるともなれば、確かにむやみやたらに使えないのか。


「キメラの活動時間はキメラを生み出す時に使ったボクの血液の量に比例するから、長い時間活動させようとするとそれだけ血が必要になるんだよね」


「ってことは実戦訓練するだけでもそのリソースを使うわけか」


「うん。それでも自分の能力の把握はしないといけないってブラッドさんに言われたから」


「なら、少しでも有益な訓練になるよう俺も手伝うよ」


「ありがとう。ニーサン」

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く