異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第269節

 ジェイドを連れ、階段へと向かう。
 道中、魔獣や魔人と遭遇したが笑えるくらいに簡単に倒せた。魔獣はもとより、魔人もだ。放ってくる魔術の全てをカオスで弾こうとすると吸収し、勢いそのままに魔獣や魔人共を切り捨て、魔力を失った魔石がそこらじゅうに散る。
 身体的能力の向上、対魔能力の獲得、魔術の高破壊力。いままでの自分が見てきた景色が別物に映ってくる。


「カズキ、この先に少し強い魔人がいる」


 曲がり角の手前でカオスが忠告してくる。


「この先にか? ジェイド、この先に階段があるんだよな?」


「はい。そうですけど」


 ってことは、階段を守護する奴がいるってことか。面倒を避け、階段を通らず壁を登って三階に向かおうとも思ったが、援軍が来るシチュエーションになるぐらいなら、この場で倒しておきたい。
 逡巡し、倒すことに決めた。


「なら、倒さなくっちゃな!」


 先程の蹂躙でカオスが少しは手に馴染んでいる。
 廊下を駆け、角を曲がり、視界に入る一体の魔人。ローブを身に着け、武器を持っていない。
 奴は俺を視認すると炎の球体を俺に向かって撃ち放ってきた。俺はそれを躱すことなく一太刀で切り伏せ、その炎の熱や光の全てをカオスが飲み込んだ。
 魔人はもう一度放とうとするが、それより俺の方が速い。
 魔人が手をカオスにかざしたが、何が起きる事も無く俺によって切り捨てられた。たぶん、物理障壁でも張ったんだろうが、全く意味をなしていない。
 魔人が落とした魔石を拾う。


「さっきのあいつ。悦楽の王が従えてる魔人の中でも魔術に関して、一番強い奴よ」


「え、そうなのか?」


 クララがそう言うが、俺の体感的には今までの敵と全然違いがわからない。


「さっきの炎、あなたの白炎には劣るかもしれないけれど、人一人を炭化させるのに十分な魔術だったのよ」


「マジか」


 人一人を炭にできるって本気出したら火葬場いらずじゃねぇか。


「では、そやつも我が配下に加えるか」


 そう言ってカオスが黙る。


「さて、それじゃあ上に向かうか」


 一瞬の攻防で他に敵が来る様子もなく、ジェイドを引き連れ階上へ向かう。
 三階階に上がったタイミングで再びカオスが声を上げた。


「あの部屋だ」


「あの部屋は……」


 見るからにデカイ扉。


「あの部屋は謁見の間です」


 謁見の間といえば、王が玉座に座り、民の陳情を聞いたりする場所だ。王といえば謁見の間と言うぐらいに昔からゲームにも描写されている。


「広いのか?」


「とても広いです」


「なら、戦いの場にもってこいだな」


 ここから先は小細工無しだ。正真正銘の最終バトル。


「ジェイド。お前は加勢しなくていいから、アイリス達を探せ。見つけたら外に連れ出せ。いいな?」


「分かりました」


「カオス。念のため、空の魔石に魔力を入れてくれ。ジェイドに渡しておきたい」


「よかろう」


 空の魔石に魔力を注入してもらい、それをジェイドに渡す。


「じゃあ行くぞ!」


 カオスをぶら下げ、謁見の間への扉を開く。

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