異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第268節

 俺は超重量メイスをIGBにて現代送りにし、魔剣カオスを装備。その後、この奇妙な部屋を出てジェイドの所へ戻る。


「ジェイド、大丈夫か?」


 顔色が悪いジェイドを起こすのも躊躇われたが、この場に放置するわけにもいかなかった。


「どうやらその娘、魔力を枯らしておるようだな」


 お前がやったんだけどな。


「どうすればいい?」


「魔力が少ないならば魔力を補充するしかなかろう。本来ならば、食事と休息でじっくりと休ませるのが良いが、この有様だ。少し強引にするしかない。貴様、空の魔石を一つ寄越せ」


「空ってこれでいいのか?」


 魔力を失っても宝石としての価値はあるため、一応空の魔石も携帯している。それをカオスに渡した。


「都合が良い。中に誰もおらんな」


 カオスは柄の部分から空の魔石を取り込み、数秒してから同じところから吐き出した。


「これをその娘に飲ませると良い。数分もすれば魔力が体に馴染むだろう」


「マジか!」


 俺はジェイドの頭部を少し起こし、小指程の大きさの魔石をジェイドの口の中に入れ、スポーツドリンクを少しだけ口の中に注ぐ。するとジェイドはごくりと魔石を飲み込んだ。さすがにゲームのようにアイテムを使用したからといって直ぐに回復するという分けではないが、時間が経つにつれ顔色が良くなっていった。
 その間、俺はクララとノーマンの魔宝石をポケットに仕舞う。


「カズキ、どうだった?」


「ああ。とりあえず、魔神の魔宝石を手に入れた」


「魔神!?」


「我の事だ」


「え!? ええっ!?」


 クララが素っ頓狂な声を上げる。普段はクールな雰囲気で振る舞っているが、驚いた声はそれはそれで可愛らしい。


「太古の主。お初にお目にかかります」


 今度はノーマンが出てきた。


「ほう。我をその名で呼ぶという事は、旧き者か」


「名をノイマンと申します」


 そっちが本名なのか。ってか、偽名とほとんど変わらないんだな。


「待って! 旧き者って……ええ!?」


「いや、お前が待てってか落ち着け。旧き者ってなんだよ」


「我が直接生み出した者の事をそう呼ぶ。しかし、その核は貴様自身のモノではなかろう?」


「その通りでございます。訳あって、この者の付き添いとして同行しておりました」


「そうか……。しかし、我を主と呼び、敬意を払う者が未だに居るとはな」


「太古の主よ。御身はこの城にて幽閉されておいでだったのですか?」


「そのようだな。眠りにつき、いつからココに居たのか知らぬが、この男。カズキによって起こされたのでな。またこの世を見て回ろうかと思ってな」


「左様でございましたか」


 俺を置いてカオスとノイマンはあれやこれやと話している。昔話に花を咲かせるのもいいが、ここは敵地。


「いつまで喋ってんだ。どこから敵が出てくるかも分かんないってのに」


「それならば心配はいらん。この周囲に敵意を持つ者はおらん。随分と遠くに敵意を持つ者達が集っているようだがな。それと階上に大きな魔力を持つ存在が数名。その中でも一際大きいモノが魔王であろう」


「え、カオスって索敵もできるのか?」


「魔力の濃淡ならば容易に把握できる。何も我の力だけの力でもない」


 そういや、魔力探知ができる人間は能力の程度こそあれ居た。でも、カオスのそれは格別だろう。


「……カンザキ様」


「目が覚めたか」


 うっすらと目を開けるジェイド。血色が良くなっている。


「あれから、どうなりましたか?」


「ああ。無事に扉の先に行けた。そこで新しい仲間ができた」


「仲間……ですか……」


「そうだ」


 ジェイドは上半身を起こし、自身の側頭部に手を当て、顔をしかめた。もしかしたらコブになっているのかもしれない。


「俺達は上に向かうけど、ついてこれそうか?」


「はい。ここで寝ていたら、何をしに来たのかわかりませんから」


 そう言ってベッドから降り、身だしなみを整える。


「よし、それじゃあ上に向かうぞ。ジェイド、案内を頼む」


「はい!」

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