異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第249節

 穏やかな涼しさの中で目が覚めた。
 清潔な白いシーツに薄手のタオルケット。少しゴワゴワした枕に頭を乗せている。見渡すと手摺越しに小さなテレビや冷蔵庫が見えた。
 少し独特な臭いがする。その臭いでココが病院だと分かった。
 起き上がろうとするが体が傷み、腕を使おうとして点滴が刺さっている事に気が付いた。
 どれだけ眠ってたんだ。
 寝返りを打ち、ポケットに何かが入っているのを感じ取り出してみる。携帯だ。
 電源を入れようとするが、バッテリー切れの表示。
 ってことは、あれから少なくとも二日以上は経ってるか……。
 脱力し、体をベッドに預ける。
 バッテリー切れの携帯の黒い画面に傷だらけ、腫れだらけの俺の顔が写っている。


「神崎さん?」


 女性の看護師がカーテンの隙間からこちらを覗いていた。


「目を覚まされたんですね」


 看護師はカーテンを開き中に入ってくる。どうやらこの部屋は俺の一人部屋みたいだ。


「あ、すみません。なんかご迷惑をかけたみたいで」


「いいんですよ。それより、体調の方はどうでしょうか?」


「体中が痛いです」


「随分と傷だらけでしたからね。お腹が空いていたり、喉が渇いたりしていませんか? 水かお茶ならすぐにお持ちしますよ」


 そんな感じで看護師は慣れた様子で俺の体調をいくつか訊いてきた。それに対し、答えられる所は答え、答えられないことに関しては覚えていないと答えた。


「ところで、俺がなんで病院に運ばれたのか教えてもらえませんか?」


「ちょっと待っててください」


 看護師は廊下に出てパソコンを乗せたキャスター付きの台を持ってきた。


「えーっと、上沼さんという方。ご関係はご友人の方ですね。その方が自宅で倒れている神崎さんを発見したそうですよ」


 カミやんがか……。


「そういえば、今日は何月何日ですか?」


「9月25日の金曜日ですね」


 一週間も眠ってたのか!?


「もしかして、俺が運ばれたのって二十日の日曜ですか?」


「そうですよ。もしかして、上沼さんと遊ぶ約束でもしていたんですか?」


「まぁそんなところです」


 例のフリーマーケットの件か。こんなことになってカミやんにも迷惑をかけちゃったな。
 看護師がちらりとノートパソコンに目を向ける。


「神崎さん、夕食は食べれそうですか? 今なら夕食の用意に間に合いますよ」


 病院食か。食べるのも久しぶりだな。


「お願いします。それと、俺が運ばれてきた時に他に荷物はありませんでしたか?」


 倒れたまま運ばれたなら、俺が身につけていた物が他にもあるはずだ。


「はい。盗難されないようこちらでお預かりしていましたので、後でお届けしますね」


「すみません。ありがとうございます」


「夕食後に詳しいお話を聞かせてもらいますが、よろしいでしょうか?」


「はい。答えられる範囲なら」

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