異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第244節

「カズキ様? 一体誰とお話ししてるんですか?」


 おっと、俺達の会話が聞かれたみたいだ。といっても、クララの声までは伝わってないみたいだけど。


「ああ、俺の国での特別な連絡手段なんだ。そいつからコイツが魔人だって教えてもらってな」


「ええ! そんなことまで出来るんですか!?」


「ああ、それよりアイリスはフランと一緒に外を見張ってくれ。俺が良いというまで誰も入れるな。これは命令・・だ。いいな?」


 アイリスは驚きも、質問もなく、俺の言葉に従う。


「分かりました」


 アイリスは踵を返して部屋を出る。


「さてと」


 幸いにもこの部屋は俺が使っている部屋。毛布の一枚や二枚はすぐに手に入る。
 トニに毛布を掛け、そっと内股に指を添え、すっと撫でる。
 ギュッ!
 内股を思いっきり抓り上げる。トニは苦痛の表情を浮かべ、呻き声を上げる。しかし、その口は猿轡を噛まされており、ムームーと唸ることしかできない。こうもあられもない姿を晒せば、いくら美人で妖艶な見た目だとしても形無しだ。


「おっと、魔術は使うなよ? 使おうとすればまた抓り上げるからな?」


 傍から見れば裸の女に毛布一枚だけを与え、女の下半身に手を伸ばし、その毛布の下で何をしているかと思われるだろう。まぁそれはさておき。
 トニは俺の言葉には従う様子らしく、涙目ながら反抗する様子ではない。


「お前の名前はトニで間違いないな?」


 コクンと頷く。


「トニ、君と取引がしたい」


 一瞬だけ止まってからコクンと頷く。


「君は俺を利用するために悦楽の王に命令をされている。間違いないね?」


 コクンと頷く。
 クララが言ったとおりだ。これで交渉の前提が整った。


「じゃあ、商談と行こう。といっても、内容は簡単だ。俺はキミを殺さず解放する。代わりに魔王に俺が言う通りの報告をしてもらう。ここまではいいか?」


 コクン。


「じゃあ契約だ。俺がキミを生かして解放したならば、キミは魔王に俺が言ったとおりの事を報告する」


 魔人との契約は口約束ですら強い拘束力を保つ。現にクララは口約束だけでこうして俺のために助言をしてくれる。それが魔人の文化なのか生態なのかは良く分からない。まぁ今回はそれを利用させてもらう。


 トニも契約内容に文句は無いのか俺の言葉に特に噛み付いてくることはない。むしろ、勝者の言う事には絶対服従だと言わんばかりの従順さを見せられている気さえする。
 魔王に伝えて欲しい文言をトニに伝え、拘束を解き、ローブを再び着せてから部屋を出させる。
 どうにも、ロトと関わってから女に言い寄られる、もといハニートラップに引っかかりそうになる回数が増えている気がする。据え膳食わずは、とは言うがどうにもそういった誘導に乗るのが嫌いだ。

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