異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第239節

 真っ先に斬り込んだのはフランだった。今回、フランが装備しているのは武闘大会で装備していた片手剣ではなく、どんな化け物を倒すのか分からないような大剣だ。その大剣に炎を纏わせ、ロナルド達に劣らぬ速さで斬り込み、一薙ぎで四体の魔人を胴から真っ二つにした。
 続いて俺が撲殺用超重量メイスを振りかぶり、魔人を一体潰す。
 この魔人達、俺が聞いた話より弱い! これなら何とかなる!
 そう思った刹那、二陣の風が俺の両脇を通り抜け、魔人達を吹き飛ばしていく。
 振り向くまでもなくその風があの親子の支援だと分かる。


「吹き飛べや!!」


 本から一本の魔法瓶を取り出し、火属性の魔法石で時間で発火する魔術を施して敵陣のど真ん中に投げ入れる。
 僅かな時間差の後、耳が痛くなるような破裂音が戦場に響き渡り、周囲の魔人共を吹き飛ばす。
 魔法瓶の中には液体窒素とアルミニウム粉末と鉄錆を仕込んでおり、テルミット反応によって瞬間的に液体窒素が気化し、魔法瓶の内圧を極限まで高めて破裂する。液体が気体へと移相するだけで体積は約1800倍に膨らむ。しかも、テルミット反応熱による膨張で気圧は凄まじく高まった上での破裂だ。正直、俺の力がもっと弱くて遠くまで投げれなかったら俺まで巻き込まれてるのではないかといったレベルでやばい。
 こうなると真っ先に狙われるのが俺だ。得体のしれない魔術を使う人間。そんな風に思われるのだろう。そこを狙い撃つのが他の三人だ。
 フランはゾンビゲームの主人公の如く、その通り道には屍が積み重なり、アイリスとハリソンは得意魔術が重なっている事もあり、隙なく常に暴風荒れ狂う有様だ。俺が蓄えた魔石を放出したとはいえ、魔力といった枷のない魔術師はこうも恐ろしいものなのか。
 俺も負けじと魔力を寄り集めて魔術を行使する。俺はそもそも魔術の適正がないせいでこういう時に魔術の行使に時間がかかるのが難点だが、その分使える魔術の種類は魔宝石の数だけあるし、俺の知識と魔術を組み合わせれば凄まじい威力を出すことができる。例えばこんなこと。
 何もない空間にアルミニウム粉末を振りまき、それを風魔術によって操る。風によって拡散しないよう気を付けながら敵陣のど真ん中に持って行って火属性の魔術によって発火する。するとまたしても凄まじい爆発を起こし、魔人共を蹂躙していく。
 魔人共も反撃をしようと試みるが、同士討ちを避けてか威力が低かったり範囲が狭かったりと十全の力を出し切れていない魔術を放ってくる。その程度の魔術であれば抗魔術の魔宝石である程度は威力を殺すことで俺自身に手傷を負わせることはできず、ロウ親子の風によって逆に押し返したりと面白いように被害を受けない。
 更に向こう側ではロナルド班が鬼人のような戦いぶりを見せており、ロナルド班を攻撃するか、俺達Aチームを攻撃するか統率の取れていない魔人達は足並みを揃えられていない。
 そこに俺の広範囲高火力の化学兵器が投げ入れられる事で混乱は更に酷いものになっていった。
 更に数発、液体窒素爆弾とアルミ爆弾を投擲してからロナルドによって退却指示が出た。


「これで最後だ!!」


 魔人共への置き土産としてタンク一つ分の液体窒素をぶちまける。
 液体窒素は当たり前だが、その冷たさこそ危険だが、気化した後の窒素そのものも危険だ。なにせ周囲の空気を全て窒素に塗り替えてしまう。そうなれば酸欠は必至。魔獣が二酸化炭素によって死ぬことは確認している。故に魔人にとっても酸素は必須だ。
 つまり、窒素によって酸欠状態を生み出し、殺す。


「あばよ!!」

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