異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第237節

 深夜三時。アラームによって目が覚めた。
 寝起きは悪くなく、思考はクリアだ。
 さすがのアイリスもまだ眠っていたが、俺が起きた気配でのそのそと起き始めた。


「おはよう。アイリス」


「……おはようございます。カズキ様」


 まだ目がとろんとしており、意識が覚醒してい無いようだ。
 たまには俺がお茶を用意してやるか。
 現代で適当に湯を沸かしてからティーパックでお茶を作り、更に氷を入れて冷やす。冷たい物でも飲めば少しは頭がハッキリするだろう。


「ほら、アイリス。喉が渇いただろ」


 俺がこの世界に来てから数週間しか経っていない。現代では残暑が残る九月の下旬。こちらの世界も夏なのか、昼間は暑い。救いと言えば、現代日本の夏に比べ夜は涼しく寝苦しくない事ぐらいか。


「ありがとうございます」


 アイリスは俺から麦茶を受け取り、その冷たさに少し驚いた様子だった。
 アイイスがお茶を飲んでいる間にフランとハリソンの様子を伺いに行く。既に二人とも起きており、フランは体を解し、ハリソンは指先に光を灯していた。


「二人とも、調子が良さそうだな」


「おはようございます」


 アイリス、ハリソン、フランにはそれぞれレオから持ちかけられた今日行う作戦について話してある。だからこんな真夜中から準備体操なりをしているんだろう。


「たぶん、もう少ししたらレオが迎えに来るだろうから、いつでも出られる用意をしてくれ。その間に簡単な朝食を用意するから」


「分かりました。ところでカズキ様、本当にアイリスを連れて行くのですか?」


 昨日も確認された。やはり、自分の娘が戦場に向かう事が心配のようだ。


「ああ。大丈夫さ、ロージーとも約束したけどアイリスが怪我をしないように注意は払う。それに魔人の横っ面を引っ叩いたら帰るんだからそこまで難しい話じゃない。こっちにはレオやロナルド、フランだっているんだ。俺が知る限り、最強の布陣だよ」


「確かにそうなのでしょうけど……」


 ハリソンの心配そうな表情を見たフランが声をかける。


「アタイもアイリスさんを必ず守る」


 俺の軽い言葉より、フランの一言のほうが随分と重く感じられる。


「ありがとうございます。私も父親として、娘を守らなければなりませんね」


 誰かに守ってもらう前に自分で守る。そんな感じだ。娘を持つ父親の気持ちなんて分からないが、この戦争は俺にとって身内を守るための戦争だ。まぁ少なからず、武勲を立て成り上れるなら成り上がってみたいが、あくまでそれは副次的な物だ。そんなものがなくたって、俺はこの戦争にどんな形であったとしても関わっていただろう。


 二人と別れ、アイリスの所に戻る。空になったコップを受け取り、現代に渡って徒歩数分のコンビニでパンやら弁当やらを買い込んで、異世界に渡る。
 そして、皆で朝食をわんやわんやと取ってから身支度を整えたタイミングでレオが来た。


「カズキ、そろそろ時間……なんだか随分といい匂いをさせているな」


「腹が減っては戦はできぬってね」

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー254917

    奴隷のくせに意見し過ぎ

    0
コメントを書く