異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第234節

 俺達は少しの休憩時間を与えられた。
 七千匹の魔獣を数分で屠った英雄。魔獣を浄化する白炎を操る魔術師。空を穿つ炎の化身。と、休憩中に色んな兵士から様々に言われた。挙句の果てには本当は魔人なんじゃないかと言われる始末。


「カズキ様、おめでとうございます」


「なにが?」


 アイリスが何かを祝ってくれているが、あまりピンとこない。


「あれほどの戦果、きっと爵位を与えてもらってもおかしくありません! クリス様ならきっと、カズキ様に男爵以上の地位を約束してくださると思います!」


 爵位と聞いて、少し胸が躍る。


「男爵ってそんなに偉いのか?」


 好奇心から元貴族だったハリソンに話を振ってみた。


「爵位には五つの階級があります。上から順に、公爵こうしゃく侯爵こうしゃく伯爵はくしゃく子爵ししゃく男爵だんしゃく。ちなみに私は伯爵の地位を持っていました」


 ってことは爵位の真ん中あたりか。ハリソンって結構偉い方だったのか。


「男爵ってのはどんな扱いなんだ?」


「大きな点でいえば土地の所有が可能となりますね。地方の土地を持つことができ、その土地の経営をすることができます。例えば、土地を人々に貸し与えることで一定期間毎に集金したり、税を設定して徴収することもできます。それと、軍を組織することもできます」


 なんか歴史の授業で習ったことがあるな。地主とか小作人とか懐かしい。ってことは、この世界では墾田永年私財法みたいな概念は無いのか。


「男爵ってそんな簡単に成れるもんなのか?」


「武勲を上げれば爵位を授かることもありますが、魔獣七千匹を相手に数分とかからず倒せる人間に与える爵位としては男爵はむしろ低いくらいだと思いますよ。働きだけで言えば子爵でもおかしくありません」


 ロナルドとかレオ、フランでも出来そうだけど。


「そうなのか。だったら、クリスに少しタカってみるか」


「ただ、クリス様が与えることができる爵位はそこまで高いものではないかもしれません。あくまで王位継承権第一位はロト殿下ですから」


「そうなるのか」


「少なくとも、カズキ様を手放したいと思う人はいないと思います。私も少なからず政争に関わった身です。カズキ様の実力を知っている人間なら、友好でありたいと考えることはあれど、敵対したいと思う人間はいないでしょう。既に魔獣の大群の討伐という功績がある以上、他の方々もカズキ様に一目置くはずです」


「なら、もっと功績を上げれば高い爵位が貰えるのか?」


 自分でも少し欲深いかなとも思ったが、聞くだけタダだ。


「そうですね。私の見立てではクリス様の権限の範疇であれば子爵、ロト殿下からの顔の覚えが良ければ伯爵も可能かもしれません」


「男爵と子爵、あと伯爵の違いってなんだ?」


「全て土地持ちという点は共通ですが、規模が違います。男爵であれば、まだ誰も住んでいないような土地を譲り受け、自ら開墾し、発展させます。子爵は農村のような地方の土地を与えられ、管理を任せられます。伯爵ともなれば、地方都市の管理を任せられますね」


 ニューゲームか強くてニューゲームぐらいの違いか。まぁ土地によっては弱くてニューゲームの可能性もありそうだけど。


「なるほどね。少し興味が湧いた」


「と、いいますと?」


「ちょっと伯爵になってやろうじゃないか」


 要は敵を倒しまくればいいんだろ。

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