異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第228節

 翌朝、またしても騒音と共に目が覚めた。
 アイリスは既に起きており、調理器具や食器を運び出そうとしているところだった。


「おはよう、アイリス」


「あ、おはようございます。カズキ様」


 起き上がり、アイリスの手伝いをする。


「どうも外が騒がしいようだけど、もう到着したのか?」


「はい。今はテントの設営と物資の保管をしています。先ほど、ロナルド隊長とレオ副隊長がお見えになったのですが、カズキ様が寝ていらっしゃいましたので後でまた来るとおっしゃっていました」


「そっか。それじゃあ朝飯の用意でもするか。やっぱり戦争前なんだから肉食って精をつけないとな」


 俺は一度現代に渡り、冷蔵庫にしまっていた昨日のバーベキューとは別に買っておいた肉を持ち出す。それをアイリスに渡して調理を任せ、ロナルドやレオに挨拶しに向かった。


「やぁカズキ」


 部屋の中にはレオとロナルドがいる。
 レオはどこから持ち込んだかわからないでかいテーブルを部屋の中に入れ、地図を広げていた。地図の上には何かの駒、たぶん軍隊に見立てたものだろう、を置きならべている。


「此度の任務、よく務めてくれた」


 ロナルドは俺を労ってくれた。


「まぁレオが派遣してくれた石組のおかげさ。ぶっちゃけ、あの人達がいないと、ここまでできなかったよ」


 実際、あの櫓は俺に発想できなかったし、人手不足も解消してくれた。俺が不在の間を取り仕切ってくれたおかげで色々と仕掛けをする時間も捻出できた。


「そうか。なら、戦果次第では褒賞を与えよう」


 この世界における戦果は対人であれば相手を捕虜として身代金を要求したり、お偉いさんが年金を与えたりする場合と対魔族の場合であれば魔族が落とした魔石そのものを自分の懐に入れる事を許可する場合がある。工作兵の場合は前線に出ないため、全体の戦果から割合的なものを算出して与えたりするんだろう。前半はジョンから聞いた話で後半は俺の私見だけど。


「本題に入るけど、ちょっといいか?」


 レオはロナルドの様子をうかがい、ロナルドはうなずいた。


「ああ、構わないが」


「ちょっと見てほしいものがあって」


 俺は二人を基地から離れた場所に連れ、ある策の相談をした。二人は俺の提案にいくつかの質問をしてきて、俺はそれに答えた。


「……分かった」


「手間だとは思うけど、これも戦争で勝つためだ。俺は俺が使える手段を使って、この戦争に勝つって決めたからな」


 そこでロナルドが口を開く。


「カズキ、君は何のために戦争に臨む? 富のためか? 栄誉のためか? 君はあくまで異国の客人、どうしてそこまで力を貸してくれる?」


 俺が惜しみなくサニングのために尽力する姿に疑問を抱いたのだろうか。


「いまさらだな。そんなの決まってんだろ。サニングには世話になった奴らがいるから、それを守りたいからだよ。それとまぁ少しはクリスティーナ王女のためかな」


 俺は笑って答えた。それに対し、ロナルドも含みのある笑みを見せた。


「君の策に乗ろう」

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く