異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第225節

 さて、現状の把握をしよう。


 まずはこちらの戦力だ。
 サニングが今回の戦争に投入する戦力は六万。
 内訳はロト親衛隊が一万、アーサー親衛隊が八千、クリス親衛隊が二千、国軍が三万、募兵が一万。
 国軍の指揮権はロトが実権を握っている。また、魔大陸へ侵攻するために蓄えていた軍費を放出し、兵を募ったとの話もあり、実質ロトの使役できる人数は五万に上るらしい。
 アーサー親衛隊は俺達とは反対側、丘の西側を拠点として行動をするらしい。ジョンからの話によれば、アーサー王女は生粋の武人であり、その部下も統率のとれた兵とのこと。
 そういった点で鑑みれば、クリス親衛隊の人数の少なさが極めて目立つ。そこはロナルドやレオといった一騎当千の騎士が補ってくれるだろうけど、その負担を減らすのが俺達工兵の役割となる。
 そして、俺達クリス親衛隊の目的はロトの軍が包囲されないよう、右翼の防御が主な役割となる。ようは目の前の丘を乗り越えられたら負けという訳だ。
 また耳寄りな情報だが、十人いるという王宮魔術師のうちの五人が今回の戦争に来てくれるそうだ。四人のうち三人はロト陣営、一人はアーサー陣営、一人はクリス陣営だ。クリス陣営に来るのはロイスらしい。


 次に敵の戦力だが、クララは魔族の戦力の全容を知らないようだが、魔人が一万以上二万以下、魔獣が三万以上五万以下といった漠然とした戦力を教えてくれた。頭数としてはそこまで大きく外れているわけではない。ただ、気になるのは魔人の強さだ。魔人の強さと言ってもピンキリだろうが、訓練した騎士で同格、中級冒険者がパーティーを組んで魔人一人と渡り合え、レオの強さで魔人二体を無傷で倒せるといったレベル。クララに聞いた所、ハンスレベルの魔人は多くないとの話だが、複数人いる事は間違いないらしい。
 それにクララが言っていた獣魔人だったか。そいつらがいる場合、統率のとれた魔獣は魔人より厄介、つまり訓練された騎士と同格以上に格上げされるってことだ。
 ちなみにサニングの兵士の練度を格付けすればアーサー親衛隊、ロト親衛隊、クリス親衛隊、国軍、募兵の順になるらしい。ちなみに俺の強さを無理矢理格付けするとすればアーサー親衛隊の平均的なレベルらしく、個人レベルで言えば訓練された騎士以上という扱いになるらしい。まぁこれはジョンとクララの双方から評価された俺の実力を踏まえての自己評価だ。


 次に地形についてだ。
 レオに見せてもらった地図の写真を片手に状況を把握する。
 ここら一体は海に近い事もあり好き好んでここいらの領土を保有する貴族が居ない。つまり、どれだけ土地を荒らそうが、文句を言う人間はいないということだ。俺は気が付かなかったが土が多少の塩分を含んでいるため、この丘から向こう側は田畑にすることにも向いていないとジョンが教えてくれた。
 丘の東には小規模な林があり、さらにその奥に手付かずの採掘地帯がある。また、その採掘地帯の更に向こうは山であり、その山を迂回してサニングに行く事は出来ないらしい。山というか山脈が連なり、その山は山の国にまで続いているようだ。
 丘の西側にも高い山があり、こちらは森になっている。俺はこちらから襲われる可能性を指摘したが、森を焼き討ちし、一網打尽にできるためあまり気にしなくてもいいらしい。
 最後に丘の向こうだがだだっぴろい平原が続いている。膝上から腰下ぐらいの雑草が生い茂っており、足下の視界が良くないため、地を這う魔族には注意が必要だ。逆に空を飛ぶ魔族は容易に捉えることができる。


 次に俺達が建造した施設だ。
 まず重要人物たちの仮設住居に物資の貯蔵庫、それから十人以上が常駐できる石造の櫓を五つ。俺が少し頑張りすぎたせいか、資材がかなり余ってしまったため余った資材で櫓の周囲を壁で囲い、陣地側に入口を、平野側に櫓から出っ張った形でダミーの部屋を作る。こっちのダミーの部屋は櫓とは繋がっておらず、単なる空き部屋だが、粉塵爆発用に壁は厚くしてある。


 それから林にピアノ線のトラップを無数に仕掛けており、仕掛けた俺本人ですらどこに仕掛けたのか分からないほどの量を仕掛けた。これにはジョンにも苦笑いをされたが、林に立ち入りさえしなければ安全は飛躍的に増した。俺が仕掛けている間にベイリーが引っかかりかけたと笑っていたのはご愛嬌。
 そして、平野にはある仕掛けを施している。


 とまぁ状況としてはこんなところか。あとは勝つか負けるか、蓋を開けてみないと分からない。

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