異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第215節

 俺はレオ達との会議を終え、一度屋敷に戻ることにした。帰りは行きと違い徒歩のため少し時間がかかるが、その時間が俺の頭の中を整理させるには丁度良い時間になった。
 やることはロトからの依頼の物資の輸送とクリスからの依頼の基地の建築だ。
 物資の輸送はロージーに話を通し、監督をしてもらう事を了承してもらえばいい。
 基地の建築はどう転がっても俺自身の手が必要だ。そのため、早急に移動する必要がある。
 こうして優先順位の優劣と各人の役割を決めた頃に屋敷に戻った。
 俺はすぐさまロージーに話を通し、物資の輸送の監督をしてもらう件は了承してもらい、アンバーにはその補佐をしてもらうことにした。
 そして、例の魔動四駆を分解しようとした所で余りの魔宝石の中にも回転する魔宝石が残っていたのでそちらを使い、コンベヤを作成する。二本の回転軸に何枚ものなめした革を連結させ、ベルトに見立てて取り付けただけの簡素な物だが、この世界の重力は軽いため、こんな簡単な機構でも輸送することに成功した。
 そして早速、魔動四駆で基地建設予定地に向かうことにした。この頃には正午と夕方の間ぐらいの最も暑い時間になっていた。
 久々の国外に出る感動もそこそこに俺達は魔動四駆に乗り込み発進する。カーステレオ代わりにスマホで音楽を鳴らす。曲はもちろんあの有名な海外ドラマのテーマソングだ。


「カズキ様! 本当に大丈夫なんですか!」


 アイリスが座席にしがみ付きながら、半分非難めいた声で聴いてくる。


「たぶん大丈夫だ!」


 俺がハンドルを握り、即席の座席に三人を座らせている。馬車より快適さはないが、とにかく早い。それに、走行しながらも地属性の魔石を使って道を舗装しながら走っているのだから、尻へのダメージも少ない。


「この調子なら! 夕方頃には目的地に付きそうですね!」


 フランはこの魔動四輪の走行を楽しんでいるようだ。


「そうだな! 徒歩なら丸二日はかかる距離をこれで走ろうってんだから、我ながら気が狂ってるとしか思えないな!」


 魔動四輪の速度は体感だと60キロぐらいありそうだが、実際は40キロが良い所だろう。それでもそのスピードで2時間も走れば目的地に着く。


「まさか、こんな所で活躍の機会があるとは思いませんでした!」


「何事もいつ役に立つか分からないって事さ!」


 この魔動四輪の開発にはハリソンも少なからず実験体……もとい、協力者として尽力してくれた。
 俺達はそんな調子で二時間もの魔動四輪による走行の末、建設予定地に辿り着いた。


「なるほど。こういった立地なのか」


 北には小高い丘があり、その更に向こう側にが盆地が広がっている。地図と見比べても位置関係は正しい。東には林があり、その更に向こう側には確かに岩石地帯が目視できる。あの周辺にあるらしい川を発見できれば粘土も見つかるだろう。


「では、これから役割を分担する!」

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