異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第210節

 全員が自室に戻ったのを確認して、俺も自室へ戻り、明日に備えて作戦を考えノートに記した後、休憩がてら机を離れてベッドに倒れこむ。
 目を瞑り、少しだけ目を休めてから起き上がる。


「さてと」


 俺は魔宝石を取り出し、机に置いた。クララの核となっていた魔宝石だ。
 結局、この魔宝石の使い方がまだ分かっていない。クララ自身が魔術を使っている様子を見たことが無いから、何の魔術が使えるかも検討が付かない。
 魔宝石をじっくりと見つめた後、魔宝石に語りかけてみる。


「クララ、この中にいるのか?」


 返事がない。そういえば、ノーマンの声を聴くためには魔法石を手に取っているときだけだっけ。
 俺は魔法石を手に取りもう一度訊いてみた。


「クララ?」


「いるわよ」


 お。返事が来た。やっぱり持ってないと聞こえないみたいだ。この耳飾りとつながらないとダメなんだろうか?


「やっぱり、契約をした後に魔宝石になると意識って残るのか?」


「知ってるの?」


「まぁ、魔宝石の状態でも普通に喋る奴を知ってたからな」


「そう。あなた、随分と魔宝石を持ってるようだけど、全部購入品ね?」


「分かるのか?」


「ええ。あなたは特に私達に対して理解が無いようだから少し、教えてあげるわ」


 魔人ご本人から魔人について聞けるのはチャンスだ。


「あなた達が魔人と呼ぶのは私達のような知性を持つ存在の事ということは知ってるわ。そして、それは正しいの。あなた達の言葉を借りれば魔族は魔王、魔人、魔獣が主よ。例外はいるけれどね」


「例外って?」


「今はどこにいるかも分からない魔王よりも上の存在。言うなれば魔神ね。それと魔獣が知性を得た……魔獣人とでも呼びましょうか」


「魔神に魔獣人か」


 新しい単語が出てきたな。クララの造語っぽいけど。


「魔神に関しては私達も伝承の形でしか知らないから確証はないの。魔獣人の方なら私でも説明できるけど、聞く?」


「ああ、頼む」


「魔獣人は大きく分けて二通りの発生方法があるわ。一つは魔獣が過度な魔力を手に入れ、魔石が肥大化し、それに耐えられた者が魔獣人となるの。もう一つは魔人と魔獣の魔石を配合して成功すれば魔獣人が生まれるの」


「魔獣が過度な魔力を手に入れるって例えば?」


「多くの魔獣が互いに争って最後に残った一匹にはそれ以外の魔石が蓄えられるでしょう? それ以外にも膨大な魔力量を持つ人間を餌として与えたりね」


 蠱毒みたいなやり方だな。


「きっと、悦楽の王も魔獣人を何匹か従えてやってくると思うわ。魔獣人は魔人以上に魔獣の扱いが上手いの。だから、魔獣人が従えた魔獣は魔人より厄介な事もあるわ」


「戦った事があるのか?」


 まるで実際に戦ったと言わんばかりの言い方だ。


「私はないけれど、ハンスはあったみたいね」


「そうなのか」


 コンコン。


「ご主人様、まだ起きていらっしゃいますか?」


 ジェイドの声だ。時計を見てみると23時とそこそこ遅い時間になっている。


「クララ、またあとで」


 俺は魔法石を机の上に置いた後に扉を開いてジェイドを招き入れる。


「どうかしたのか?」


「ご主人様に少しお話があります」 

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