異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第192節

 料理が運ばれ、食事を進める。


「そういや、ロイスってなんで王宮魔術師なんてやってんだ?」


 四人分の料理が盛られた大皿に俺は自前の箸を伸ばしつつ訊いてみた。


「ロイスちゃんはー、もともとは森の国にいたのー。だけどー、ずっといても退屈だったからー、冒険者のお兄さん達に陽の国まで連れてきてもらったのー。それで、冒険者の仕事をしながら生活してたらー、なんか王宮で魔術師を募集してるって聞いてー、なんとなく話を聞きに行ったらー、ロイスちゃん王宮魔術師になれちゃったのー」


 なんでもないように料理を食べながらロイスは答えた。


「ジェイド、王宮魔術師ってそんな簡単になれるもんなのか?」


「簡単にはなれません。単純に魔力が高かったり、戦闘力が高いという基準ではなく、国内の魔法の発展に大きく影響を与えることができる人物というのが重要なポイントなんです。新しい魔術の開発や新しい魔術体系の提言、そういったものが必要なんです。ロイスさんは裏魔術という魔術体系を創作したという功績が王宮魔術師になる条件を満たしたのだと思います」


「なるほどねー……というか、裏魔術って王宮魔術師になる前から使えたのか?」


「裏魔術自体は森の国にいるころから使えたよー。あ、これ美味しいねー」


 やっぱり、こいつって天才の部類なのか?


「裏魔術がどういったものなのかー、研究し始めたのは王宮魔術師になってからだよー」


「じゃあ、今まではどういったものなのか分からずに使ってたのか?」


「だってー、手が動くのはどうして? なんて考えて動かさないでしょー? 動くから動かすんだよー。それと一緒だよー」


「……」


 現代でもなかなかお目にかかれない本物の天才だ。発想が天才のそれだ。


「それよりー、ロイスちゃんはー、フランちゃんの話が聞きたいなー」


「俺も聞きたいな」


 ここはロイスの提案に乗っておこう。


「主……」


 フランは眉を下げて困り顔をした。


「俺もクリスやロトに声をかけられるまでは冒険者になろうって思ってたんだよ。結局はなれずじまいだったんだけどな。だから、冒険者ってどんなもんなのか聞いてみたいな」


 ロイスも冒険者だった頃があったみたいだし、今はすごく興味がある。


「……分かりました。主の頼みとあればお話ししましょう」

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