異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第185節

「魔術と裏魔術、それから魔石術だったか。タイン人独自の技術って聞いたことはあるけど、具体的にはどういったものなんだ?」


「それも専門外だけれど、魔石術の基礎ぐらいなら魔術師の教養の内ね。魔石術の前に魔石の話からしましょうか。魔石が魔族の核ということは知ってるわよね?」


「ああ。実際に魔獣を倒したら魔石が出たのを覚えてる」


「さっきも話した通り、生物は魔力を取り込む事ができて、魔獣もその性質を思ってるの。そうね……推定だけれど、犬型の魔獣なら同サイズの普通の犬が持つ保有する魔力と同量の魔力が込められた魔石を出すってのが一般的。そして、魔石に蓄えられている物は一般的に魔力だって言われているけれど、実際は活性魔子の塊なの」


「え」


 なんというか、ロイスと話していると今までの常識が崩れる。


「そんな顔するのも無理ないわ。そもそも、正しい情報が正しいまま流れる事の方が稀よ」


 その言葉にぐうの音も出ない。


「魔石に込められたものは活性魔子、つまり魔力の性質が確定する前の物なの。つまり、魔石術は魔石に込められた活性魔子を操る術の事。活性魔子は自然界において、ほぼ不規則に魔力を形成するから欲しい魔力になるとは限らないけれど、魔石術はその活性魔子を狙った魔力に変換することができるわ」


「つまり、魔石術は魔子から魔力への変換技術ってこと?」


「そうね。少なくともロイスちゃんが知ってる魔石術の基礎はそういう物。それで魔子を特定の魔力に変換する方法は一つ一つ違うの。そして、それはタイン人の独自技術として秘匿されていて私達が知ることはできないわ」


「なるほど」


 俺は魔術も裏魔術も使えないけど、魔石術なら可能性があるかもしれない。


「そういや、魔宝石ってのはどういった位置付けなんだ?」


「魔宝石は一種の魔石術と言われているわ。魔子や魔力を流すことで魔術を起こすの。昔は魔宝石学って学問もあったらしいのだけれど、研究費が高すぎて廃れていったらしいわ」


「へぇ。まぁ確かに魔宝石って高価だしな」


「最近は魔人の数が増えて魔宝石の流通量が増えて安くなったって親衛隊の人が言ってたけど、少し前まではもうちょっと高かったわね」


 供給量が増えたって事か。


「今でも細々と研究している人がいるかもしれないけど、ロイスちゃん聞いたことないわ」


「魔宝石は魔人の魔石から特殊な技術を使って魔宝石になるって聞いた事があるけど、その特殊な技術ってのが魔宝石学にあるのか?」


「あら、そんなことも知ってるのね。確かにその通りよ。一応、ロイスちゃんみたいな王宮魔術師の一人に魔宝石化の特殊技術を持ってる人もいるにはいるのだけれど、ロイスちゃんはあの人嫌い」


「あ、いるんだ」 


「そんなことより、そろそろ出かける準備をしなさい」


「え、どっか出かけるんですか?」


「ええ。そろそろフランちゃんの試合が始まっちゃうわ」


 見に行くのかよ。

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