異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第184節

「魔力はそれぞれに性質があり、その魔力を分類する方法にも色々あるわ。陰陽法や四属性や五行法、でも結局の所、そんな分類は教える側の方便であって実際は魔子の配列によって性質が変わる。その一点だけがロイスちゃんは真実だと思うの」


 あ、ローテンションでも一人称はロイスちゃんなのね。


「魔力ってどれぐらいの種類があるんですか?」


「そうね……良く使われる魔力は千種類ぐらいに落ち着くかもしれないけど、使われない物も含めれば星の数と同じぐらいかもしれないわね」


「端的に言って、人間が数えられないぐらいってことですね」


「そうね」


 魔力をエネルギーに置き換えたらどうだろうか。物理的エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギー、etc。それだけでも新たな魔力の分類法になりそうだ。


「あと、魔力の面白い特徴としては生物との親和性があるわ。特に人間に魔力が宿りやすいという不思議な特徴」


「……ん? どういうことだ?」


「普通の生物には生命を維持する以上の魔力を蓄える性質はないの。そもそも普通の生物は魔術なんて使わないから、それでもいいのだけれどね。でも、人間は別。魔術を使うから魔力を蓄えるようになったのか、魔力を蓄えるから魔術を使うのかは分からないけれど、人間には生命を維持する以上の魔力を蓄えることができるの。そして不思議な事に人間それぞれに蓄えられる魔力の性質が違うの。ある人は火の性質を持つ魔力が蓄えやすかったり、ある人は水の性質を持つ魔力が蓄えやすかったりね。ロイスちゃんだったら水ね」


 ああ、ハリソンが解説していた通り、ロイスは水が得意なのか。


「水の裏魔術って言えばどんな現象が起こせるんだ?」


「裏魔術の面白い所は術者の認識によって効果が変わる事。水の性質で言えば、流れる事、それと氷や蒸気に変化しやすい事。その認識の下で裏魔術を使えば流れない水、変化しない水が作れるわ」


 ロイスはそういって実際に裏魔術を用いた水を創造してみせる。本当に流れない水を創造して見せた。氷とも違うガラスのような水だ。いや、ロイスの説明が無ければたぶんガラスそのものと思っていただろう。


「裏魔術の水の面白い性質は氷のように硬いのに、斬られたり、割られてたりしてもすぐにくっつくこと」


 ロイスは試しにガラス状の水を砕いて見せ、もう一度くっつけてみせて手を放す。すると割れたはずなのに離れない。氷でもこの短時間ではくっつかないだろう。


「本当ならフランちゃんとの試合の時に見せて上げたかったんだけどね。双頭の水蛇に襲われるフランちゃん、見たかったなぁ」


 心底残念そうに言う。


「裏魔術って可能性の塊だな。なんで、裏魔術が主流になってないんだ?」


「簡単な話よ。起こす現象に見合わない量の魔力が必要なの。それに魔術に比べて裏魔術を習得するのに時間がかかるの」


「普通の魔術より魔力の消費量が多いのか?」


「そうなの。魔力って万能って言われてる通り、何でもできる力の源なんだけど普通の現象から乖離すればする程、魔力の消費量は増えるの」


「そもそも、魔力を消費するってどういうことなんだ?」


 当たり前のように魔力を消費するって言ってるけど、現代知識を下に考えればエネルギーは消費するものではなく変換させるものだ。例えば石油を燃やせば熱エネルギーが取り出せ、その熱エネルギーの一部を運動エネルギーに変換し、その運動エネルギーの一部を電気エネルギーに変換する。そう言った物だ。


「あら、魔法を知らないって本当なの? その点に着目する研究者なんて私以外で初めて見たわ」


「そうなのか?」


「ええ。魔力を消費するなんて説明は方便で、実は魔力を消費するということは魔力を魔子に分解することなの。分解された魔子は不活性魔子になるの」


「不活性魔子ってことは活性魔子があるって事だろ? 魔子は一種類しかないんじゃなかったのか?」


「それもごめんなさい。そこまで説明すると混乱するだろうからって、普段は不活性魔子については説明しないの。知らなくても問題ないと思ったの」


「そういうことか。でもさ、不活性魔子が活性魔子になるにはどうすればいいんだ?」


「不活性魔子が活性魔子になる理論はまだ確立されてないの。そもそもこの分野は魔力源理学の範疇で正直に言って私の専門分野外よ」


「ああ、そういやロイス、さんは裏魔術の研究者だったっけ」


「そうよ。一応、興味のある研究者と話す機会があれば積極的に話を聞いてるけど、それでも全てを理解できる訳でもないからね」


「なるほど」

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