異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第183節

「ロナルドに頼まれたから魔法については教えてあげる。あなたがどこまで魔法について詳しいか知らないから、頭から説明するわね」


「頼む」


「そうね……まず、言葉の説明から。魔法、魔術、魔力、魔子、ここら辺をハッキリさせておかないと混乱するでしょう」


 魔子? 聞いたことが無いけど、語感から察するに魔力の源みたいなものか?


「最初に魔子から説明するわ。魔子はこの世界を構成する魔力の源のこと」


「この世界を構成するのは魔力じゃないのか?」


「それでも間違いではないわ。例えば、あなたの服は一本一本の糸で構成されているけれど、その糸もさらに細い繊維で構成されているわよね? だから、服は繊維でできてもいるし、糸でできてもいる。お分かり?」


「ああ」


「話を戻すけれど、魔子はその並び方によって性質を変えるの。この並び方によって性質が異なるものが魔力。魔子はたった一つの種類しかないけれど、その配列によって魔力は多種多様な種類があるわ」


 現代の科学知識で言えば魔子が原子で魔力が分子って事か? で、この世界の原子はたった一種類しかない……ってことだよな。


「その魔力を用いて何らかの現象を起こすことが魔術だったり、魔石術だったり、私が研究している裏魔術でもあるの」


「その裏魔術っていうのはどういった物なんだ?」


「そうね……話が脱線するけれど、それも説明しないといけないか」


 ロイスは蝋燭を手に取り、何らかの魔術で着火する。


「これが魔術。火を点けるというごく普通の現象」


 ロイスは蝋燭の火を吹き消してもう一度火を点ける。ただし、その火は煌々と輝く光を発さず、むしろ周囲の影を吸い寄せるような闇だった。


「これが裏魔術。さっきと同じように熱を発し、蝋燭を燃やすけれど、光を放たず吸い込む。こういった通常の現象とは逆の性質を持たせる魔術の事を私は裏魔術と呼んでるわ」


「……凄いな……」


 そもそも、光を吸い込むなんて現象を目の当たりにしたことが驚きだ。普通なら考えられない。今までの魔術は自然現象を人為的に起こす便利な物程度の認識だ。火を点けるならライターでもマッチでもいいし、物を動かすなら人力でも馬力でもいい。でもこれは違う。裏魔術でしかできない現象がある。


「あら、魔術が分からないのにこの裏魔術の凄さが分かるの? 一見、光を取り込む火を出しただけなのに」


 少し挑発的な物言いだが、少しだけその声色に喜色が灯っている。


「畑は違っても俺もロイス、さんと同じ研究者ですから、この現象の凄さは分かります。少なくとも俺が知っている物理法則に反している」


 光を全く反射しないみたいな問題ではなく、文字通り光を取り込んでいる。現に、裏魔術による火が灯った時、影が伸びたんだ。


「へぇー、畑は違えど共感し合えるってのは貴重ね。あなたにも少し興味が湧いてきたわ。それで、裏魔術については分かったかしら?」


「はい。詳細までは分かりませんが、魔術は俺の常識で測れる領域で、裏魔術は俺の常識で測れない領域だということは」


「なら、話を続けましょう」

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