異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第181節

 俺達は朝食を終え、散り散りとなる。
 フランの試合は現代時間にして11時ぐらいだ。その時間までは俺の時間は空いている。俺は異世界用の装備を整え、王城に向かう。一応、俺はクリスの親衛隊に所属しているし、武闘大会で顔も売ったため面倒な手続きは無く武器を持ったまま王城敷地内に入ることができた。
 今日の目的はロナルドが言っていた訓練やら修練やらを詳しく聞くためだ。
 門兵が一人の兵士を呼び、俺の案内に付けてくれる。兵士は随分と畏まった態度で俺を案内してくれた。
 王城の敷地は周囲を城壁で囲み、その城壁に沿って何か所か兵舎がある。その兵舎の一つがクリス親衛隊専用の兵舎らしい。
 造りもそれなりにしっかりしていて、決してみすぼらしいという事は無い。現代で例えるならエリート集団が住むマンション的な物だろう。一応、俺も希望をすればここに住めるらしい。
 兵舎の中に入ってみると、インテリアにも気を配っているのかむさ苦しい男共の巣窟という雰囲気はない。というか、女性もちらほらといる。一見、短髪の中世的な男性かと思えば胸に膨らみがあった。
 俺が兵舎の中を歩き進むと、少しずつ俺に向けられる視線が増えている気がする。そして囁き声も聞こえてくる。
 兵舎は二階建てで一階は主に親衛隊の中でも比較的階級の低いクラスの隊員だろう。まぁそれでも親衛隊に所属している時点でそれなりの生まれか実力があるのだろう。
 兵舎の二階は幹部クラス、ロナルドやレオも二階に部屋を構えているらしい。
 階段を上ってみると一階とはまた一つ格が違った。


「やぁカズキ。こんなところで会うなんて偶然だね。ひょっとして私に会いに来てくれたのかな」


 まぁいるよな。こいつの家みたいなもんだし。


「レオ。随分と遅いじゃないか。街の見回りはまだ行かなくていいのか?」


「今日は街を回るよりもここで待っていた方が面白いと私の直感が告げてね」


 直感スキル持ちかよ。高ランクなら未来予知すらできるってのは本当だったのか。


「というのは冗談で、隊長から聞いてたんだよ。カズキが今日来るだろうってさ」


「またお得意の諜報か?」


「いや、この件に関しては本当に隊長の直感……というより、推測かな? カズキは考える時間が長いだろうから、少なくとも一日は時間を置く。そしてここに来る決断をするって隊長は言ってたよ」


 ロナルドは人を見る目があるのか?


「君が来ることは分かっていたからね。隊長も部屋で待ってる。君、後の案内は私が引き受けよう。君は通常業務に戻りなさい」


「はい!」


 兵士はこの国独自の敬礼っぽい所作を見せてから階段を下りた。


「さぁカズキ。私達のねぐらにようこそ」


 レオは模擬戦の時に見た笑みと同じ笑みを浮かべた。

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く