異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第174節

 俺は一度部屋に戻った。


「おかえりなさい、カズキさん」


「ああ。夕食の件だけど、もう少し時間がかかりそうだ」


「分かりました」


「小腹が空いたなら、残ったお菓子は食べていいからな」


「いえ、あまり食べ過ぎると後が怖いですから」


「そうか?」


「それより、この部屋には私が見たことが無い物がたくさんありますが、これらはどういった物なのでしょうか?」


「ん? ああ、それか」


 この部屋には現代から運んできた家電がいくつかある。現代から延長コードを異世界に延ばし、目立たないベッドの下から延長コードをニョキニョキ伸ばしている。
 電気ケトルとか、スマホの充電器とか、まぁそういったやつだ。


「こっちは水をお湯にする機械、こっちがスマホのバッテリーを充電する機械……セシル、機械って分かるか?」


「機械ですか? 水車とか風車の事ですよね」


「へぇー」


 俺は少し感心した。機械って言えば、現代では電気で動く物を連想するが、実際は人力以外の動力で動く装置を指す。そういった意味では水車や風車は立派な機械だ。翻訳の魔宝石が正確に働いているのか、セシルの見識が広いのかわからないけど。


「間違ってましたか?」


「いや、正解だ。水車なら流れる水の力、風車なら風の流れる力を使ってるだろ? 俺が使ってる機械は電気の流れる力を使ってるんだ」


「電気ですか?」


「ああ。まぁ詳しく説明すると時間がかかるからそういう物だと思ってくれ」


「それは私達にも使える物でしょうか?」


「あー……それは難しいだろうな」


 家電は安定した通電を要求される。そこを安定して供給できるなら……。いや待てよ……。そういや、回転する魔宝石があるならそれを使って発電を……それで、バッテリーを経由させて……。でも、直圧だろ……変換させればなんとか……。


「カズキさん?」


「……ああ、悪い。考え事をしてた」


 俺は工学の中でも機械が専門で電気は詳しくない。それでも、調べながらの作業になるだろうが、できないことは無さそうな気がしてきた。


「まぁそういった便利な道具が俺の国にはあって、それらの道具を安定して使うためのインフラが整備されてるんだ。逆に言えば、そのインフラがない陽の国じゃ難しいって話」


「そういうことですか……」


「まぁその電気を蓄えた電池ってのを使えばこの国でも使える物はいくつかあるから、今度用意しようか。といっても、中にはそれなりに値が張るから考え物だけど」


「それでも、見てみないことには始まりませんから、一度見せて頂けますか?」


「んー、まぁそうだな。まぁ手始めに安い奴から始めてみるか」


 それに電池で動くってことは電池が売れるってことだ。それは悪い話じゃない。


「カズキ様ー、皆さんがお帰りになられましたよー」

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