異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第159節

 皆で集った朝食を終え、散り散りとなった朝食後、俺はハリソンとロージーの所に訪れた。


「夫婦水入らずの所、邪魔して悪いな」


「カズキ様? どうかしましたか?」


 ハリソンが立ち上がり問いかけてきた。


「ああ、魔大陸の件だ。アイリスを連れて行くと言って二人共心配してるんじゃないかと思ってな」


「その件はアイリスに任せると言ったはずです」


 ロージーがピシャリと言う。


「ああ。アイリスは俺の傍が自分にいるべき所だと言ってくれた。だから俺もアイツにとって居心地のいい場所になってやろうと思ってる」


「なら、どうして魔大陸に?」


 ロージーの口調には少し刺がある。アイリスに任せると言っておきながら、内心は俺に対して不満があるのは明白だ。


「単純な話し、取引をしたのさ。ロト殿下とな」


「その件は聞きました。その対価としてフランさんを引き取ったことも」


「ああ。その通りだ」


 実際は吸魔石の方がメインだが、そこは言う必要はないだろう。


「それとこの屋敷を利用する権利だ。俺は当初の目的として、この国で居を構えるつもりだった。だけど、この国の国民になるためには色々と手続きが必要でな。そこらへんの問題をロト殿下に解決してもらったのさ」


 実際は屋敷の用意は後出しだったから、直接的な取引内容ではないけれど。


「ロト殿下の願いを叶えるためには本当にアイリスが行く必要はあるんですか?」


 確かにロージーの言う通りだ。俺は物資の運搬を頼まれただけだ。極論、俺はあっちとのゲートさえ繋げば、俺があっちに滞在する必要ない。滞在する必要がないなら、身の回りの世話なんていらない。つまり、アイリスを連れて行く必要がない。それでもアイリスを連れて行くのには理由がある。


「俺は魔族についてもう少し詳しく知りたい」


「魔族についてですか?」


 俺の意外な答えにハリソンが反応する。


「ああ。魔族については色んな奴から聞いた。だけど、魔族の魔人と直接話をしたことはないからな」


「魔人と話す!? カズキ様! 正気ですか!?」


「ああ。別に気が狂ったわけじゃないぞ?」


「あいつらと話し合ったところで、最後には騙され裏切られる!」


 普段は温厚なハリソンだが、この時ばかりは主人たる俺に対しても非常に強い口調だ。


「別に話し合いだけで何とかしようって話じゃない。単に話を聞きたいだけさ」


 話し合いだけで何でも解決すると思っている程、俺は能天気じゃない。まぁ危険と言われる魔族に対し、対話を試みるというのは好奇心だけれど。好奇心は猫を殺すというが、今の俺はハリソン達から見ればその猫なのだろう。


「まぁこの話は一旦置いておこう。今日は式典二日目、遊びに行こうぜ。今日は俺のおごりだ」

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