異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第157節

「そういや、変な宝石とか付けてるし……似合わないよそれ」


 今の俺は吸魔石を使って魔力を吸引する状態にしており、加重のベルトが働いていたり、翻訳の装飾品が働いたりはしていない。近場だからと外すのを怠っていた。


「ほっとけ」


「それってイミテーション? 耳飾りに首飾り、ベルトにまで変な宝石とか付けてるし、神崎ってそんなに趣味が悪かったっけ?」


「別に好きで付けてるわけじゃねぇよ。それにこれはイミテーションじゃなくて本物な」


「ええー! だって、それ大きすぎるよ? 数万円じゃ買えないと思うよ?」


 曲がりなりにも魔人の核となる魔宝石、魔獣に比べれば確かに一回りでかいが……。数万で買えないってことは数十万単位なのか?


「まぁいろいろあってな。他にもこんだけある」


 俺は二、三粒の魔石をベルトポーチから取り出す。ロンにベルトを切られたため、少し新しい方のベルトに替えてある。


「えー! そんな無造作に扱ったら、宝石が傷つくよ?」


「ああ……」


 そういえば、宝石によって引っ掻き傷に強い弱いってあったっけか。魔石として捉えてたから傷つくとかポンと抜けてた。


「そうだな。ちょっと扱いが雑だったか」


「それも全部本物?」


「ああ。紆余曲折あって俺の物になった」


「まさか、盗んだりしてないよね?」


「盗んでたら水城に話してないよ。それに宝石強盗とか、宝石窃盗とかそんな事件とか起こってないだろ」


「まぁそうだけどさ。でも、随分と羽振りがいいみたいだね?」


「まぁちょっとした小金持ちって奴だよ」


「あんまり自慢してると、悪い人に襲われちゃうぞ?」


「今の俺なら返り討ちにしてやるさ」


 こっちの世界では俺自身の力は平凡だが、力の魔宝石によってみかけの筋力が三倍ぐらいにできる。そして今では五大属性の魔宝石すら持ったんだ。拳銃でも持ち出されない限り、勝てるだろう。


「へぇー、そんなこと言う神崎初めて見た。前はそんな感じじゃなかったのにね」


「昔?」


「私と付き合ってた頃、いっつも卑屈だったでしょ? いっつも私に謝ってばっかりで」


「そうだったっけ?」


「そうだよ。あの頃の神崎よりは今の神崎の方がいいと思うよ? まぁアクセサリーの趣味は良くないけど、やっぱり男は自信を持ってた方がいいな」


「…………」


 俺、そんな風に思われてたのか。


「もしかして、彼女でもできた?」


 彼女でもできた……。


「……いや、彼女はいないよ」


「そっか。早くできるといいね」


 彼女……。彼女かぁ……。
 俺はロージーとアイリスが抱き合う姿を思い出した。


「彼女より嫁が欲しいな」


「気が早いね。でも、そのうちできるよ」


「ありがとう」


「じゃあ、私そろそろ行くね」


「ああ、じゃあな」


「連絡先交換したんだから、たまには連絡ちょうだいよ。それで食事でも誘って、小金持ちの神崎一樹君」


 水城はそういって手を振って行った。

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