異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第154節

 食堂に皆を集めた。皆揃っており、座っている。俺が一番最後らしい。


「よし、みんな揃ったな」


「こんな時間に……どうかしたんですか?」


 アンバーが少々不機嫌そうに言う。


「ああ。今日は俺にとって色々な事があってな、それで今後をどうするか決めたいと思う」


「あのー、今後って今まで通りに過ごすんじゃないんですか?」


 ジェイドが小首を傾げて言う。


「いや、このままというわけには行かない。この建国式典が終われば、俺とアイリス、それからフランの三人で魔大陸に行く」


「魔大陸!?」


 ハリソンが大声を上げ、立ち上がった。隣に座っているロージーも大声を上げはしないが、非常に厳しい目を俺に向けてくる。


「これはアイリスにも了承してもらった。もちろん強制はしていない」


「それは……」


 俺の言葉をハリソンは疑わなかった。普段から、俺はアイリスに命令をすることはない。そのことはハリソンも知っている。


「俺の考えだが、俺とアイリスとフランは魔大陸で今後は行動することになり、お前ら四人にはこっちで俺の命令の下、動いてもらう」


「カズキ様が魔大陸とこっちの両方に居ることになりますよ?」


 ジェイドが当たり前のような疑問を投げかけてきた。


「俺は特殊な手段で魔大陸とこっちを行き来する。だから、その点については問題ない」


「なら、私も魔大陸に!」


 ハリソンが俺に歩み寄り、懇願してくる。


「いや、お前はロージーの傍にいろ。それにこっちはこっちで人手がいるし、お前は並の人間より役に立つからな」


「……」


 ハリソンははたとロージーを見る。


「アイリス、あなたはそれでいいの?」


 ロージーはアイリス手を握り、ゆっくりと質問した。


「私はカズキ様の従者ですから」


 その声音は渋々と言ったものではなく使命感に近い決意に満ちた物だった。


「ジェイドとアンバーはどうだ? 何か異議申し立てはあるか?」


「私は無いわ」


「私もです。やっぱり、お屋敷の掃除をするほうがやりがいがありますから」


「分かった。ハリソン、ロージー。二人はどうだ?」


「カズキ様、アイリスは危険な目には合わないんですよね?」


「ああ。別に前線に立って戦う分けじゃない。主に俺の身の回りの世話や小間使いとして連れて行くんだ。荒事ならフランがいるしな」


「……いつごろ帰ってきますか?」


「それはロト殿下次第だろうが、きっとロト殿下の事だ。俺に対してはそれなりの配慮をしてくれるから休暇だって取れるだろうさ。こっちから魔大陸へは船で行くらしいが、帰りの便に俺達三人を乗せてもらうよう交渉だってする」


「……分かりました」


「ならいいな。ロージーはどうだ?」


「アイリスが決めた事。それにアイリスは一度決めたことは簡単に変えないもの……私に似てね」


 ロージーがアイリスを抱きしめる。


「生きて戻ってくるのよ」


 これが母と娘の親子愛か……。
 俺は父子家庭だったからな。少し羨ましく感じた。

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