異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第153節

 俺は茶漬けを食べ終わると、アイリスに食器の片づけを命じ、一度現代に戻った。アイリスに何かをプレゼントするためだ。
 あまり嵩張らず、お菓子より思い入れのある品がいい。それでいて、わざわざ買わなくても済むもの。どうせなら俺がそれなりに大事にしている物を渡したい。
 昔から、俺は相手が欲しい物よりも俺が渡したい物の基準でプレゼントを選んでいる。そして、苦笑いされながら受け取られる。それでも、俺は渡したい物を渡したい。俺はそういう人間だと割り切っている。


「さーてと、何がいいかな」


 適当に引き出しを開けながらプレゼントとしてふさわしそうな物を吟味する。すると一つのキーホルダーが目に付いた。
 サボリス。
 脱力系マスコットの一種、リスをモデルにしたキャラクターだ。サボリスはクルミを自分で割らず、相棒のクルミ割り人形のマイヤーに割らせてから食べるというぐうたらキャラクター。
 このキーホルダーは確か、どこかに旅行に行ったときに手に入れてとってあったものだ。わりと気に入っているキャラクターでこっちに引っ越す時に持ってきたんだった。
 プレゼントならこれぐらいものがいいだろう。可愛いし。
 サボリスのキーホルダーをポケットに入れた後、自分の体の応急手当てをする。さすがに怪我の箇所が多いせいか、包帯はすぐになくなった。
 俺は新しい服に着替えてから異世界に渡る。


 まだアイリスは戻ってきていないようだ。
 俺はベッドに横になり、キーホルダーをテーブルの上に置いた。
 しばらくするとアイリスが戻ってくる。


「アイリス。今日はありがとうな」


「いいえ。このぐらい当然です」


「だからな。今日は少し特別なプレゼントだ」


 俺はキーホルダーを手に取り、アイリスに手渡す。


「これは……なんでしょうか?」


「俺の国ではそういった人形が出回っていてな。それは俺が気に入ったキャラクターを模した人形だ。それをお前にやる」


「え……いいんですか?」


「ああ。……そうだな、ここにでもつけとけ」


 俺はアイリスのズボンのベルトを通す部分、名称は知らない、に引っ掛けた。


「ありがとうございます」


 アイリスは少し照れ恥ずかしそうにしている。気に入ったかどうかは分からないが、アイリスの照れ顔は好きだ。


「どういたしまして。さてと、皆はもう戻ってるか?」


「え、あ、はい。各々の部屋で休憩なさっているかと」


「じゃあ、ちょっと集めてくれ。あの広い食堂みたいな場所に」


「畏まりました」

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