異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第146節

 夕方。
 魔宝石を加工してもらった俺は手足にそれらを身に着けた。
 ちょっと成金っぽいかな?
 一応、スボンの裾やシャツの袖で隠れるようにはしているが、少し鬱陶しい。
 今後、魔宝石の数が増えてくるとなると装備方法も新しく勘案しなければならない。
 そんな先の事を考えながら会場に入場する。念のためトーナメント表を確認するとアイリスとフランは無事に勝ち残っているようだ。
 残った参加者は俺達を含め全員で32名。次の試合でこの人数も更に半分になる。


「さぁてと、頑張りますか」


 簡単なストレッチをしてから、俺は控室に入る。


「やぁ少年」


 ロンは俺を出迎えてくれた。相変わらずローブを着ており、フードを目深に被っているため口元以外は見えない。目が合わないってことはあちらもこちらの顔をあまり見ないようにしてるのか?


「今日はあんたに勝って、祝賀会を上げさせてもらうぜ」


 俺はロンを挑発した。


「もし、その席があるなら私も呼ばれたいものだな」


 言外にそれはあり得ないと俺には聞こえた。


「祝賀会が終わったら、あんたにリンゴの盛り合わせでも持って行ってやるよ」


「君が持ってきたものなら、きっと美味しい物なのだろうな。そのリンゴとやらも」


 りんご=見舞いという意味合いで言ったつもりだが、りんごそのものが伝わらないんじゃ挑発にもなりゃしない。
 ロンの武器は細身の剣。実物を見たことはないが、レイピアみたいに刺突向きの剣っぽい。細く鋭いが、俺のメイスを受ければ絶対に折れるだろう。そういう意味では近接でも勝ち目はありそうだが、間違いなくフィルより速いため、簡単には勝てないだろう。


「そう警戒してくれるな。私とて、君と同じ出場者だ」


「どれだけ警戒しても、あんたに対して警戒しすぎるって事はないだろうさ」


「ほう、だからこそのその装備なんだね」


「…………」


 見た目はほぼ変わらないはずだが……どこで気がついた?


「そろそろ時間だ。私が先に壇上に上がらせてもらおう」


 ロンは特に緊張した風もなく、軽い足取りで舞台へ向かう。
 俺も一回戦、二回戦と経たため当初よりは緊張感はないが、それでも足が震える。そえが怯えなのか武者震いなのか。
 やけに遠くから実況の声が聞こえる。


「三回戦の一人目の出場者の入場だ!」


 夕方ともなれば観客も疲れているはずだろうに、歓声は衰えるどころか更に増している。


「鋭い攻撃と華麗なる俊敏性! 今大会で彼を傷つけたものは未だ誰もいない! その目深に被ったフードの下で彼は一体何を見つめているのか!」


 実況は観客の熱を更に煽った。


「続いて二人目の出場者の入場だ!」

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