異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第139節

「第二回戦。一人目の入場だ!」


 その呼び声と共にフィルが先に入場する。


「一人目はフィル選手! 多彩な技を使い、相手を翻弄する軽やかな戦士! 一回戦では多くの手数で相手を圧倒し、その姿は見る物に言葉を失わせるほどだ!」


 フィルは軽戦士か。ゲームのステータスで言えば敏捷性特化型みたいなものか。回避率が高くて厄介なタイプだろうな。一発の攻撃力が低く、防御も低いが命中と回避が高い……。ゲームなら攻略法は簡単だが、現実的に考えれば、刃物による一撃はゲーム程軽いもんじゃない。それに手数が多いということは障壁も簡単に抜かれるか……。案外、五秒というクールタイムはでかいな。


「次は二人目の入場だ!」


 続いて俺が出る。第一回戦とは異なり、フィルが入場した時よりも大きな声が響いた。


「二人目はカンザキ選手! 見た目にそぐわない怪力の持ち主! 彼が振るう武器は今大会出場者の中で最重量とのこと! あの魔獣狩りで知られる『両断の大剣』曰く、シーク人の上を行く膂力の持ち主とコメントを頂いています」


 敗者にインタビューでもしたのか。


「二回戦は互いに戦い方が異なる両者! 速さのフィル選手と破壊力のカズキ選手! 今戦はカズキ選手の防御術が試されるか!? では、二回戦! 試合開始!」


 試合開始の合図と共にフィルが俺めがけて短刀を抜いての突進を繰り出す。ロンの時も同じだったが、先手必勝の教えでもあるのだろうか。
 俺は吸魔石からの魔力供給を断ち、逆に魔力吸収に力を割いて荷重の魔宝石の効力を一時的に弱める。そうすると俺の自重は二十キロ以下、武器も物凄く軽くなる。
 フィルの攻撃は確かに速い。それにフェイントも入れてくる。俺はそれに一つ一つ反応してしまうが、紙一重のようなギリギリの回避ではなく、大げさに避けるため距離は十二分に保っている。


「おーっと! カズキ選手の身のこなしが一回戦とまるで違う! フィル選手の攻撃を飛んで跳ね、避ける! 避ける! 避ける!! あの武器を持ちながらあそこまで動けるのか!? 『両断の大剣』ことロン選手に対し、全力を出していなかったのか!?」


「兄さん、やるじゃないか」


 フィルは挑発的に笑った。


「それほどでも」


 俺は挑発的に返した。
 リーチ的には互いに同じぐらいか、俺の方が少し長く、懐に入られるのだけは避けたいこともあり距離は離している。
 俺は舞台を円状に逃げ回り、フィルも同じく円状に俺を追いかける。同心円で動く互いだが、運動量的には俺の方が多い。元来、俺にスタミナはない。このまま膠着状態にもっていかれれば、俺のスタミナ切れは必至だ。


「仕方ねぇか」


 漫画で読んだとっておきの技を使ってやる。

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