異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第131節

 ……あ、そういうことか。


 今の俺は体重が180キロ、武器が90キロぐらい。つまりは質量270キロぐらいあることになる。
 ダッドの方も身体と大剣を合わせれば150キロぐらいはあるかもしれない。
 俺とダッドの質量比は2:1。俺が1メートル吹っ飛ぶ作用があれば、ダッドには2メートルは吹っ飛ぶ反作用があるのが道理だ。
 理屈の上ではそうなる。しかし、それをこんな土壇場で改めて発見することになるとは。


 ……つまり、俺の身体そのものが超重量級の武器ってことか。


 速度が同一なら、質量が増すだけ運動エネルギーは増える。それはそのまま破壊力に繋がる。
 互に硬直し合っていたが、俺が先に仕掛けさせてもらった。
 先ほどと同じように武器破壊狙いの一撃、ダッドは当たり前のようにその攻撃を躱す。しかし、あの大剣を操る以上、軽いフットワークは無理だ。地に足がしっかりついており、サイドステップやバックステップはそこまで得意じゃないようだ。本来ならば、武器でガードをしながら一撃を繰り出すというのがダッドのスタイルなんだろうが、そのガードそのものが行えない現状はダッド自身の実力が出せていないということなのかもしれない。
 それに対し、俺は質量こそダッドの持つ大剣より上だが、長さはあの大剣ほどじゃない。重心が手元にあるため操るのは意外に簡単だったりする。まぁ力の指輪のアシストあってこそだが。そう言った手前、重さの割に自由に動かせ、また俺のフットワークも現代とそう大きく変わらない。
 つまりは、ガードができないダッドをメイスで牽制しつつ、体術で倒す。武術の武の字も知らない俺だが、重さは破壊力。それぐらいは分かる。
 相手も戦闘のプロ、生半可な体術では簡単に見切られるだろう。だからこそ、意外な一手で隙を作るしかない。
 先ほどと同じ攻撃を繰り出し、こちらが隙を見せたのもそのため。ダッドは大剣を横薙ぎにして俺に攻撃を仕掛けた。


「障壁!」


 自分で誘っておきながらなんだが、やはり刃が自分に向かってくるというのは怖い。
 それが絶対に防げる攻撃であったとしてもだけど。
 ダッドの大剣は俺の身体に触れる前にピタッと止まった。ダッド自身、何が起こったのか分からないといった表情。
 俺は一気に間合いを詰め、襟首を掴み、引き倒す。大剣を前に突き出し、重心が前のめりになっているダッドは簡単に倒れた。そしてそのまま俺がのしかかる。270キロの体重がだ。
 それで雌雄は決した。

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