異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第126節

「出るって、何時、何処に、何の目的で?」


「今日、武闘大会に私が出ます。私の力を……カズキ様に見て頂くため……」


 力? アイリスの力をか?
 俺にはアイリスの戦う姿が描けなかった。そりゃあ魔法も使えるし、自衛ぐらいはできるかもとは思えなくもないが、武闘大会なんて舞台に立てるほどの実力があるとは思えない。
 それに……。


「それは無理だ。出場登録はとっくに締め切っているだろう? なぁフラン」


「え、ええ。確かに当日の受付は原則行れていませんが……。カズキ様のように誰かの推薦があれば別ですが……」


「推薦ならあります」


 アイリスはそういって羊皮紙を取り出した。そこに何が書かれているのか俺には読めない。俺はそれを受け取り、フランに手渡す。


「何が書いてあるんだ?」


「えーっと……これは……『クリスティーナ王女親衛隊副隊長 レオ・ルーカス』『連名 クリスティーナ・サニング』だそうだ」


「レオにクリスか……」


 この二人からの推薦状……どうやって手に入れたのか……それにどのタイミングだ?


「カズキ様は私達に自由行動の許可を下さいました。なら、私も武闘大会に参加してもよろしいでしょう?」


「…………」


 整理だ。状況の整理だ。
 まず、アイリスが武闘大会に出場する障害は大会の運営側には無いに等しい。なにせレオとクリスの推薦状だ。
 他に問題があるとすれば、俺がアイリスに出場することを許可するかどうかだ。


「フラン、お前はどう思う?」


 戦闘経験がない俺があれやこれやと考えるよりも、実戦経験のあるフランに問いてみた。


「アイリスさんの実力なら予選は抜けられると思う」


 そんなにアイリスの実力があるのか?


「その理由は?」


「まず魔法の適正が高い事。そして、頭が良い。それだけで冒険者として並の扱いを受けることができる。……そして、アイリスさんは魔人を知っている」


「魔人を知っている? それはどういった意味でだ?」


「アイリスさんはロウ家に潜んだ魔人と対峙し、こうして生き残っている事」


 あ、そういうこと。なんとなく話の筋が見えた。
 フランは俺の知らないアイリスを知っているんだな。


「……アイリス。魔石の貯蔵は十分か?」


「大丈夫です。この日のため、カズキ様から頂いた魔石は全て持っています」


「……上等だ」


 アイリスはずっと前から戦う事を視野に入れていたんだな。


「アイリス。命令だ」


「なんでしょうか?」


「十全の力をもって自衛せよ。自衛法はお前に任せる。……嫁入り前の身体は大切にしろ」


 戦うと言った以上、アイリスはただの少女ではない。
 チープな言い方だが、魔法少女だ。それもわりとリアル志向でちょっとだけ血生臭い。


「フラン、お前もだ。全力で勝ちに行けとは言わない。自分にとっての最良の選択をしろ」


「分かりました」


 俺は二人の目を見比べる。どちらも戦意は充実しているようだ。少なくとも俺より燃えているめだ。


「よし。行こう」

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