異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第124節

 大理石とはまた違う、白い材質で作られた壇上に立つロト。


「今年も皆の弛まぬ努力により、こうして式典を開けることを心より讃える」


 ロトはいつにも増して神々しく弁舌し始めた。俺の目が間違ってなければ実際に後光が見える。


「陽の国が建国して千余年。ここまで発展できたのは先人達の努力と知恵を受け継ぎ、その力を発揮しているからだと私は確信している。故に、私にとって国民一人一人はかけがえのない仲間であると思っている!」


 観客の熱気が徐々にヒートアップしてきている。皆の視線は全てロトの身に注がれている。


「しかし、我が同胞を害する存在がいる! それは何者か!? 魔族だ!」


 そうだそうだと同調する声が上がる。中にはぶっ殺せという物騒なワードすら当たり前のように上げられている。


「今年に入り、魔人の出没、魔獣の被害、様々な苦渋を舐めさせられた。そして、その波は皆の生活にまで及んできているのだ!」


 この問いかけを否定するもは俺の周囲に一人としていない。


「そして私は誓った。これ以上、先人達が築き上げたこの国を一歩たりとも踏み越えさせないと!」


 ざわめきが一気に広がった。


「この式典において私は宣誓する! ロト・サニングの名に於いて、魔族を殲滅し人族の安寧を勝ち取ることを!」


 一瞬の静寂。ロトの声は会場全ての民に伝染するように伝わった。その波は人々のざわめきとして発病していった。熱狂という熱病として。


「魔族を駆逐し! 魔族を殲滅し! 魔族を根絶やしにする!」


 駆逐! 殲滅! 根絶やし! そんなフレーズが更に伝染した。


「愚かなる魔族に鉄槌を! 野蛮なる魔族に聖剣を! 私はもう一度宣言する! 私は魔族を絶滅させる者だ!」


 その瞬間、俺を除いた会場の全てが一丸となった。ハリソンやロージー、ジェイドやアンバー、アイリスやフランさえもその宣誓から逃れることができないようだった。
 ハリソンは涙を流し、ロージーはハリソンの背中に顔を預け、ジェイトとアンバーは互いに抱き合い、アイリスとフランは俺に抱きついてきた。


「これはやばいな」

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