異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第113節

 攻撃手段と防御手段を手に入れ、吸魔石の性能向上も行い、おおよその準備は整えた。
 あとは明日を座して待つばかりだが、式典は何も舞踏大会だけではない。折角の機会だ。改めて皆と街を巡るのも悪くはない。
 俺には四人の奴隷と二人の召使がいる。短い付き合いだが、為人はそれなりに分かったつもりだ。それでも親交を深めるのは決して悪いことではないだろう。聞いた話によると式典は三日間行われ、武闘大会も三日間行われる。しかし、自分の出番が来るまでは自由に行動してもいいとのこと。ならば、空いた時間を埋めるように一人一人と話した方がいいだろう。
 なにせ、俺の予定では魔大陸に行くことになっている。皆がどれだけこのことに対して考えているかも知りたい。
 初日はハリソンとロージー、二日目にジェイドとアンバー、三日目にアイリスとフランでいいだろう。
 武闘大会の詳しい日程や対戦組み合わせ等は当日になるまで知らされない。予選で絞られた後の総当たり戦だったり、トーナメント方式だったりとその時々で変わり、対戦相手すらも武闘大会が開かれるまでは分からない。なので、詳細なスケジュールを組むことも難しい。まぁ俺はあいつらの主人だからそこまで気兼ねする必要はないんだろうが。
 明日の大会について思考を巡らせていた所にまたしても訪問客が現れた。今度はロトの遣いだった。ジェイドが応対している間にアンバーが俺を呼びに来たとのこと。
 俺はすぐに仮の応接室に向かい、兵士と対面する。


「カンザキ・カズキ殿。ロト殿下がお呼びですので速やかに王城までお越し下さい」


 格好からしてロトの親衛隊の伝令兵か。


「要件は?」


「王城にて行われる式典の前夜祭に、カズキ殿を是非お呼びしたいとロト殿下が仰っています」


 また城かよ。何かと呼ばれることが多くなってきたけど、そんな気安く立ち入っていい場所なのか?


「前夜祭ってどんな連中が来るの?」


「王家の方々や他国の王侯貴族がいらっしゃっています」


 他国の王族か……ちょっと興味あるな。


「俺の奴隷も連れて行っていいのか?」


「ロト殿下の命により、カズキ殿の奴隷に対し、服を用意していますのでご希望の方がいらっしゃいましたらお連れください」


 ……まぁそこまで準備されてるなら行ってもいいか。


「それにしても、俺を呼ぶ理由ってなんだろう?」


「そこまでは私にも知らされておりません」


 まぁいいか。


「分かった。こっちの馬車で向かうから、俺を待たなくていいからね」


「分かりました」


 兵士は敬礼し、部屋を出て行く。
 またスーツを着ないといけないのか……そういや、クリーニングに出すのを忘れていた。
 俺は現代に戻り、スーツに消臭剤を掛けて袖に腕を通した。

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