異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第111節

 武闘大会のリストに俺の名前?


「俺の名前があるって本当なのか?」


「はい。一番右の列の下から五番目。そのすぐ下にフランさんの名前があります」


 ……まさか、レオか?


 俺はフランを出場させる旨は伝えたが、俺自身出場しないとは言っていない。出場するとも言ってないが。
 レオが変に気を利かせて申し込んだ可能性はあるかもしれない。曲がりなりにもレオと剣を交え、花を持たせられた形となった。レオ自身、俺と戦いたかったと思うのは過ぎた考えだろうが。
 さてと、考察はこれぐらいにして出場するかどうかを決めなければならない。武芸のブの字も知らない俺だけど、何故か力だけはあるし今なら魔宝石の力も借りることができる。
 何の気なしに力を高める魔宝石を使っているが、これの力で更に力が増している。人間が使える重量武器ならば持てないものはほぼないだろう。そういった意味では力試しをしてみたいという気はある。人間、力を持てば自然と使いたくなるものだ。ある旅人も言っていたが、たまには最高の実力を出すというのも悪くはない。


「出場者数とオッズはどうなってる?」


 アイリスに訊いてみた。


「出場者は百人を超えてますね。オッズの方は……えーっと、フランさんが上から八番目、カズキ様は……八十番目ぐらいです……」


 いやまぁ……商人として顔は少しは知られてきたが、武人としては無名に等しい。俺の力を知る奴はセシル、リコ、レオ、クリス……そうえいば、ジムもいたな。


「あのリストの中にジムって名前のやつはいるか?」


「えーっと……いますね。オッズで二十番目ぐらいです」


 アイツで二十番目か。まぁオッズがそのまま実力とは限らない。


「今年はレオとロトは出そうか?」


「いえ、レオ様とロト様の名前はありません」


 優勝候補の二人がいないとなると少しオッズが荒れそうか。上手くいけば、俺かフランでも優勝できるかもしれん。


「そういえば、優勝賞品とかってあるのか?」


 俺自身が出場するとなると話は変わる。改めてセシルに訊いてみた。


「この大会はロト殿下主催なんですが、優勝者はロト様が許す範囲内で望みを一つ叶えるという物です」


 劣化版のランプの精って所か。


「レオは優勝したことがあると言っていたが、その時は何を望んだんだ?」


「それは分かりません」


「じゃあ、レオの周囲で何か変わったことはあるか?」


「そうですね……特に金遣いが荒いとか女を侍らせているとかは聞きませんね」


 俺のことかい?


「変わったことと言えば、優勝して実力を認められてクリスティーナ王女の副隊長になったことぐらいですかね」


 ……ハハーン。そういうことか。
 なんとなくレオの事が可愛く思えてきた。あまりの健気さに応援すらしたくなる。
 閑話休題。話をもどそう。


「セシル、俺に合う武器を用意してくれないか? 金ならこれだけ用意する」


 俺は半分に減った金貨袋の残りの半分、金貨二十五枚前後を手渡した。


「こんなにですか!?」


「ああ。出るからには勝つ。俺が選択できる手段は何でも使う気で行く」


「……分かりました」


 俺とセシル、そしてフランを交えて俺が買う武器を相談し合った。
 その結果、受け流すことさえ困難な超重量武器のメイス。全てを叩き潰すという意味を込めて、黒穴と命名した。まぁ読みはクロアナだけど、意味としてはブラックホール。小学生並の自分のセンスをいたく気に入っている。
 長さ一メートル、質量三十キロ、それに荷重の魔宝石を加えて実質九十キロ、アホみたいな重量武器だ。さすがの俺もこれは片手で扱えない。両手で持たなければ体事持って行かれる程だ。
 漫画やアニメの主人公ではまず使わない重量武器。しかし、現実で考えれば重さは破壊力だ。


「楽しくなってきた」

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