異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第108節

「魔大陸は魔族の土地のため、魔獣、魔人が多く存在します」


 レオは俺を見据えてゆっくりと説明する。


「また、少数ですが人間も存在します」


「人間がいるのか?」


「はい。魔大陸には二つの人種がいます。私達のような身体的特徴による人種ではなく、地位的な人種ですが……」


「上位と下位がいるわけか」


 俺は端的に言い表した。


「はい。まず、上位の人種は人間でありながら魔族に与するもの。そして下位が魔族に虐げられるもの。それぞれを人非人ブルート家畜キャトルと私達は呼んでいます」


 なるほど。どちらにしろ、魔大陸にいる人間は仲間とは思っていないんだな。


「ロト殿下が魔大陸を侵攻すると仰るのであれば、まずは着岸できる陸地を発見するところから始まるでしょう」


「そんなところから始めるのか?」


 わりと順調そうに話していたロトの事を考えると、そんな前段階までしか話が進んでいないことに驚く。


「海は川と異なり、不思議な流れが存在します。魔大陸に渡るのは並大抵の事ではありません」


 今の俺なら、少し無理をすればモーターボートで渡れる気もする。まぁ海が時化てたら無理だろうけど。


「まぁロト殿下も兵士の輸送に関して一番頭を悩ませているようですね」


「あら、お兄様がそんな弱音を?」


 あれを弱音だなんて言ってたら、俺は日頃から弱音を吐いていることになる。


「今はタイン人の航湖術で魔大陸に渡る算段も付けているようですし、物資の輸送に関しても私が助力をすることになりました。なので、ロト殿下も少しは心労が減ることでしょう」


「しかし、カズキ。あなたはレオの部下なのよ? それなのにお兄様につくだなんて……」


「ああ、それに関しては大丈夫です。私はロト殿下の部下ではなく取引相手ですから。レオ副隊長の命令を聞かないというわけではありません。あくまで空いた時間にロト殿下の要望に応えるという形で納得していただきました。だからこそ、対価としてあちらのフランを譲っていただいたのです」


 名指しされたフランは少しだけ緊張した面持ちだった。


「あれ? どこかで見たような……」


 レオはフランの顔を見たことがあるらしい反応を見せた。


「フランは元冒険者で腕が立つらしいから、そういった場で目にしたのかもしれませんね」


「なるほど……。思い出しました。確か昨年の式典でお会いしたことがありましたね」


「式典?」


「はい。建国記念の式典です。その時に武闘大会が行われ、あの方が出場をしている所を見たことがありまし」


「武闘大会か」


 そのフレーズだけで何かワクワクするものを感じる俺はまだ少年心を失ってないなと自覚する。


「はい。そういえば、建国式典が明後日に控えていましたね」


 俺は強い興味を持った。

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