異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第107節

 今回の召喚はクリスからだった。
 少し腰の低い兵士はレオの部下らしく、俺に対し敬語で接してくる。その彼の説明の裏を読むと俺がロトの口車に乗った件に関して聞きたいということらしい。だからこそ、ロトの所有物件であるこの邸宅に兵士が来たわけだしな。
 さすがにこの件はきちんと話して筋を通す必要があると思っていたため、俺はすぐにその件を了承し、直ぐさまロージーに馬車の用意をさせ、全員で王城に向かった。
 城門でいつも通り武器の類を取り上げられるかと思ったが、俺の身分がセシルによって証明され、レオの部下となった経緯で武器の携帯が認められ、同時に俺の奴隷たるフランの武器の携帯も認可された。
 今日のフランは着慣れた防具に片手剣という出で立ち。まだ注文している銀の盾は届いていないため、反射の魔宝石もまだ出番は来ていない。
 それはともかくとして、クリスの元へとキムに案内される。前回会食を行った広間とは異なり、談話室といった部屋だ。既にクリスとレオが待っていた。


「カズキ、よく来てくれました」


 相変わらず綺麗な人だ。


「お待たせしました」


 俺は会釈をして部屋に入る。


「どうぞ、かけてください」


「では、失礼して」


 俺の後ろに控えた奴隷一行と双子メイドは壁際で佇んで待機する。フランだけが慣れてない様子で他の連中を見習いながら真似をしているのが少し滑稽に映った。


「今回をお呼び出しは……ロト殿下の件ですか?」


「ええ。カズキはあまり回りくどい話は好きではないでしょうから、率直に聞きますと、お兄様に付く真意を聞きたいのです」


 まぁそうだよな。


「まぁ確かにロト殿下からは部下になるよう求められましたが、それは丁重にお断りさせていただきました」


「あら? そうだったの?」


 ん? クリスが掴んでいる情報と事実が食い違ってるのか?


「はい。ロト殿下には私がレオ副隊長の組織下にいることを理由に断らせていただきました」


「そうだったの。私はてっきり、お兄様の下に付いたものだと思っていました」


「まぁ少しだけお遣いを頼まれはしましたが、私の認識では部下になったというよりも取引を行った商売相手と言った方がしっくりきます」


 俺の能力を使うことで物資の輸送を行う。その対価は吸魔石とフランだ。
 俺は特に口止めもされていないため、ロトがクリスを差し出す件を除いて概ね説明をした。
 ロトは魔大陸侵略の話をする時、人払いをしていたが俺はその点はあえて気にせずその件も話した。


「お兄様が魔大陸へ……」


「魔大陸ってそんなにやばいところなのか?」


「私はお兄様程魔大陸については詳しくはないの。レオ、あなたの方が魔大陸については詳しいわよね?」


「はい」


「カズキに説明してあげて」


「分かりました」


 レオは立ったまま説明を始めた。

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