異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第106節

 俺は新たに手に入れた魔宝石を活用する術を考えた。
 遠見の魔宝石は使い方がはっきりしているため、これはこれでいい。
 反射の魔宝石に関しても少し値は張るが銀の盾をオルコット商会に手配してもらった。
 そして今回手に入れた二十個の回転したり、振動したり、ピストン運動をする魔宝石達。これらを使って魔力を燃料とした機械仕掛け、造語になるが魔動機を開発しようと思う。
 最初に思いついたのが武器屋にあった魔動回転式の砥石の作りを応用した車輪だ。
 この世界では馬車は馬が引くものであり、日常的に魔術を使わない背景もあって、魔術による移動という考えが普及していないように思えた。
 俺は馬車を作る部品のうち、車輪を四つ、車軸を二つ、土台となる部材をオルコット商会を通じて調達し、手を加える。ネジやドライバー、釘やハンマーの類は現代で調達した物を使った。
 途中までは一人で解決しようとしたが、わりと手間が多いためハリソンとフランにも途中から手伝ってもらった。
 イメージとしては幅のある車輪のでかいスケートボードのような形の物を作り上げた。
 回転魔宝石は後輪の車軸にのみ取り付け、二段階の変速ができるように工夫もした。
 試しに乗ってみると、振動がひどくブレーキもかけづらく乗り心地も操作性も悪いとの結論が出たため、更に改良を重ねた。
 試行錯誤するうちに回転魔宝石にも個々の能力が少しずつ違う事が分かった。回転する力が強いものと弱いもの。回転数が高いものと低いもの。回転軸がぶれるものとぶれないもの。そういったもののうち、似た組み合わせを使うことで逆転制動、つまり車軸の回転に対して逆の回転を与えることでブレーキをかけれるよう改良した。
 こういう時、工業大学で学んだことが実際に活きてくると楽しくなる。
 防振についてもなんとかなった。こっちのほうが知識云々ではなく、現代で市販されている防振マットというものが存在し、それを貼ることで解決させた。完全に振動を殺すことはできないが、一定の改善が見込めたためこの方式を採用した。
 ハンドルも作成し、カーブもできるようにしたが、大雑把な作りのためどうしてもカーブをする回転半径が大きく、小回りが効かないことが最大のネックであり、現状は街中での走行は不向きであると結論づけた。しかし、逆に言えば街の外であれば直進や緩やかなカーブを疲れ知らずに走行できるというメリットもある。
 そして、魔動機の馬車がひと段落した頃、再び王城からの使者がやってきたのだった。

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