異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第99節

 フランとあれやこれやと話しているうちにロトが用意したという貴族の別荘とやらに到着した。
 周囲を見渡せば、上流階級の界隈であることは一目瞭然であるが、その中でもこれから俺達が住む家は一際大きく広い。家を通り越して、屋敷や邸宅といった表現の方がしっくりとくる。
 入口は馬車が出入り出来る程に大きな鉄門扉で、周囲は上等な石材を使った垣根。邸宅自体は二階建ての石造り。ガラス窓が嵌め込まれていることから、やはり上流の邸宅だと分かる。敷地内には厩もあり、何不自由なさそうに思える。庭木も荒れておらず、景観も悪くない。


「カンザキ殿」


 兵士の一人がこの邸宅について説明をしてくれた。
 この邸宅は現状はロトの名義によって存在し、俺達は客人として住む形となる。また、客人としてこの屋敷は貸し与えられることから家賃の類は無い。
 それと、家財の類は没落したという元貴族の借金で差し押さえられたらしく、新たな家財はロト殿下の命令の下、用意されたらしい。
 言ってしまえば、至れり尽せりというやつだ。
 強いて欠点を上げるとすれば上流階級の地区は宿に比べ、商業地区にあるオルコット商会が離れていることぐらいか。
 中に入れば部屋の数は両手の指では足りず、一室一室が現代の俺の自宅より広い。中には宴会ができそうなちょっとした広間もあった。
 俺は二階にある一番広い部屋を俺の部屋とし、他の奴隷達には一人に一室を与えた。まぁそうは言いつつも、ハリソンとロージーは同室、ジェイドとアンバーも同室となったため、実質使う部屋は俺、アイリス、奴隷夫婦、メイド姉妹、フランの計五室だ。
 各部屋に大きめのベッドが運び込まれており、二人並んでも十分に広い。たぶん、キングサイズってやつだ。
 俺の部屋の隣室にはアイリスとフランを配置し、アイリスの奥側に奴隷夫婦、フランの奥側にメイド姉妹を配置。
 そして、新たな住居を手に入れたことで何故か嬉しがっていたのがジェイドだった。理由を聞いてみると、メイドという身分でありながら家事ができないという事が何よりももどかしかったらしく、水を得た魚のように動き始めた。それとは対照的にアンバーは残念そうだ。


「さてと、俺の新たな城ができたわけか」


 環境も随分と良くなった。そして、かなりの余裕も生まれた。
 ここで一つ、俺の能力、IGについて更に調べる事を思いついた。

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