異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第92節

 これで王城に入るのは二度目か。
 簡単な身体検査を受けた後、武器の類を取り上げられた。
 と言っても俺は短剣一本だけだけど。
 俺とアンバーは他の連中が着くのを待ってから城内に入る。
 一回目は畏まってスーツで来たが、今回は完全な私服だ。シャツにシーパン、スニーカーとこれから王子様に会おうとする格好ではないが、まぁあちらさんが急かしたんだ。文句は無いだろう。
 俺を含めて面子は6人。兵士の誘導に従い、城内を歩き回る。


「カンザキ=カズキ以外はこの部屋で待機するように」


「なんだ? 俺だけなのか?」


「殿下のご意思です」


「まぁしょうがないか。皆、待っててくれ」


 皆を部屋に待機させ、俺だけ別室に案内される。
 以前、クリスティーナと会食をした広間に似た部屋だ。
 先に席に着いた男、ヒゲを蓄えた男。アイドル風なイケメンというよりも男前の俳優といった風体。洋画の主役俳優と言われても納得できるだろう。


「よく来たな。カンザキ=カズキ」


 声も渋めで耳心地が良いタイプ。女に困る事はなさそうなタイプだ。


「お待たせして申し訳ない。ロト殿下」


 とりあえず、社交辞令で挨拶を交わし、ロトに勧められるまま椅子に座る。


「今日はどういったご用件で俺達を呼んだんですか?」


 クリスティーナという王族と一度言葉を交わしたせいか、あの時より口調は軽い。


「そうだな。貴族同士の腹の探り合いの前置きは無しで行こう」


 ロトは見た目ほど堅物ではなさそうだ。


「俺と手を組め」


「手を?」


「ああ。少し順を追って説明してやろう。この時期にルーカスの直属の部下ができたと耳にしてな」


 ルーカスといえばレオの家名だっけか。


「それで少し調べさせてもらった。カンザキ=カズキという外国の男が未知の術にて未知の物資を運び入れている。入国の際の関税を納めた記録もない」


 あ、そういや俺って正式な入国手続きをしたわけじゃなかったな。それに関税とか盲点だ。


「まぁその件に関して今更蒸し返すつもりはない。ただ、そういった情報が耳に入ってお前自身に興味が湧いた」


 ロトが一度言葉を区切り、そのタイミングで傍に控えていた執事が俺とロトにお茶を差し出す。
 ロトは当たり前のようにその茶で口を濡らして話を続けた。


「カンザキ=カズキ、お前はセシル=オルコットと独占契約を結び、優先して商品をオルコット商会に卸している。間違いないな?」


「まぁそうだけど」


 ここではぐらかしても時間の無駄だろうと正直に答えた。


「その契約を破棄し、俺と新たに契約を結べ。セシル=オルコットと違約金の契約があるならそれも俺が建て替えよう」


「いや、セシルと契約を打ち切る気は無いし」


「……そうか」


「よっぽどの理由がない限り、俺から契約を破棄する事はないさ」


「カンザキ=カズキ。お前はこの国をどう思う? 外からやってきたお前の目に映るこの国は」

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