異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第90節

 俺は連日、食品類を通貨に交換し、それを元手に魔石を多く手に入れた。その都度、加工職人の所に持って行っては加工をしてもらい、その宝石を現代で売り払って現代紙幣を手に入れ、また食品類を手に入れるルーチンを行った。
 現代紙幣が百万円余り、異世界通貨が百万エルグ。金貨に換算し百枚余り。そして、魔石が二千個余り。金貨五十枚相当だ。
 本来ならば手持ちの金を全て魔石に替えたいところだが、加工職人の数は限られているため仕方がなく金貨のまま持っている。
 俺が金策に走った副次的効果として、国内の物価高騰は沈静化し、逆に物価は普段の価格に近くなったらしい。そのためか、食糧を独占しようとした一部の貴族が没落したとセシルから聞いた時には涙が出るほど笑った。
 また、国内の治安も改善に向かった結果、内々にだがクリスティーナ王女から感謝状のようなものが届いた。読めないためアイリスに読ませた所、噛み砕いて言えばありがとうございますと書いていたらしい。
 もうかなりの資金を得た俺だが、未だに宿に泊まっている。なんだかんだと、住めば都のようだ。俺とアイリスは二人部屋の一等客室、ハリソンとロージー、ジェイドとアンバーは二等客室だ。
 そういえば、こいつらも随分と頑張ってくれた。当初は全員で魔石の調達に奔走してもらう予定だったが、オルコット商会でかなりの魔石を貯めこんでいると聞いた俺はとにかく金策が必要だと感じ、ひたすらに食品類をこいつらに運ばせた。
 未だにI.Gのことを知っているのはアイリスだけであり、そのアイリスが一番頑張ってくれただろう。何せ四人に商品を運ばせる全ての指示を出していたのだから。
 疲れた時にはチョコレートやら飴を与えては頑張らせた。
 そして、アイリスを除いて一番働いてくれたのはハリソンだった。俺は余らせた魔石類をただ持っているだけでは勿体ないからと、ハリソンに相談したら魔石の魔力で魔法を使い、馬車での運搬効率を上げるというのだ。
 どういう理屈か分からないが、馬車の積載上限が上がり、馬車が通常より少し早くなった。魔石の消費も少なくないが、そこらへんはハリソンに任せた。俺の命令に従う範囲内で必要な物資は与えるつもりだ。それが魔石でもだ。まぁ結果から言えば、直接的な利益にはならないが、他の奴らの負担軽減にはなったようだから、それはそれで構わない。人間、楽するために努力すると俺は思う。
 とまぁ連日そんな感じで動き回っていたある日、宿に見知らぬ兵士がやってきた。



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