異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第85節

「これはショートケーキって言ってな。俺の国で売ってるものだ。今日は良いことがあったから、これは皆で食べるぞ」


 適当に二つのケーキをそれぞれ六等分にし、一人一人に配る。このとき、ジェイドとアンバーは少し居心地が悪そうだった。たぶん、メイドならば自分が配膳するのが常だったからだろう。だが、俺は気にしない。


「それじゃ、いただきます」


 プラスチックフォークで食べる。本日二つ目のケーキだが、これぐらいならまだ入る。
 やっぱり美味い。
 他の連中も戸惑いながらフォークでケーキを食べる。


「あら、美味しいわね」


 ロージーが素直に感想を口にする。


「ご主人様! こんなにも甘いお菓子を本当にいただいてもいいんですか!? それも二個も!?」


 ジェイドが興奮している。そして、その隣のアンバーはフォークが止まっていない。


「ああ。いいぞ」


「ありがとうございます!」


 そこまで喜んでもらえると嬉しいな。


「アイリス、どうだ?」


「美味しいです! これなら何個でも食べられそうです」


「それじゃあ、俺の分を一個やろう」


 さすがにもう入らない。


「いいんですか?」


「ああ。元々はお前との約束で買ってきたものだからな」


 気分が高揚しすぎてホールを買ったのは……まぁご愛嬌だ。


「約束、覚えててくれたんですね」


 アイリスは照れながら嬉しそうにケーキを食べる。可愛いな。


「まぁそらな」


 ふと思ったが、ショートケーキ二つよりもショートケーキとチョコレートケーキを一つずつが良かったかな。まぁ次に買う機会があれば買おう。
 そんなこんなで皆がケーキを食べ終わり、まったりとした所で俺は本題に入った。


「明日からは魔石を大量に手に入れてほしい」


「大量にですか?」


 ケーキの席で口をあまり口を開かなかったハリソンが口を開いた。こいつは甘い物より酒がいいか。


「ああ。とにかくたくさんだ。それを全て指輪のような装飾品に加工してもらう」


「もしかして、それがお金になるのかしら?」


 勘が良いのはロージーだ。


「まぁそういう事。ロージーとハリソンとジェイドとアンバーの二組で魔石を買いに行ってきてくれ。資金は俺とアイリスで用意する」


「質問があります」


「なんだ。ジェイド」


「魔石は魔獣の物と魔人の物、どちらがいいですか?」


「魔獣の物でいい。質より量だ」


 次はアンバーが手を挙げた。


「なんだ?」


「……頑張ったらケーキ……」


「ああ。儲かったら用意してやる。ショートケーキ以外にもいろいろあるぞ」


「……本当?」


「ああ。クリスティーナ王女ですらまだ食べたことがないケーキだぞ」


「ジェイド、頑張りましょう」


「お姉ちゃんがいつになくやる気だ」


 かなりやる気が出てきたらしい。この双子、可愛いし面白いな。


「他に質問はあるか?」


「買付の価格の上限はあるのかしら?」


 ロージーが聞いてきた。


「一応は相場の銀貨二枚だけど、最大で銀貨五枚まで出していい」


 それでも元が取れる。
 他に質問も無いようだ。


「じゃあ、明日から頑張ってくれ。アイリスはこのまま俺と資金調達しに行くぞ」


「はい! カズキ様」

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